発電効率59%の衝撃!
石油40.5年、天然ガス63年、石炭147年――。2008年6月、資源エネルギー庁が発表した『エネルギー白書2008(平成19年度エネルギーに関する年次報告)』によると、化石燃料の可採年数が年々減少の一途をたどっていることが分かる。資源の賦存量からも、地球温暖化問題によるCO2削減の世界的潮流からも、これまでのように化石燃料を使用し続けることができないのは火を見るより明らかだ。
そこで、経済産業省を中心に、日本政府が本腰を入れて取り組んでいるのが、「Cool Earth- エネルギー革新技術計画」である。2050年の世界の温室効果ガス50%削減に貢献する21技術を選定。その中で「近い将来、現実的に最も削減ポテンシャルが高い」と期待されているのが、火力発電所の高効率化だ。
2007年6月、東京電力の川崎火力発電所が1号系列第3軸(50万kW)の営業運転を開始した。燃料はLNGで、発電効率は世界最高水準の59%(発電端の熱効率、LHV※1)を誇る。1500℃もの高温に耐え得るガスタービンを搭載したコンバインドサイクル発電を採用し、従来の1300℃級システムに比べ、一気に4-5ポイント近く効率を改善した(1998年稼働の横浜火力発電所7-8号系列の発電効率は54.1%、2001年運転開始の富津火力発電所3号系列で55.3%)。最新の汽力発電と比べると14%以上も効率が高く、CO2排出量は25%も低減できる。

渉外グループの三浦文雄マネージャーは「従来型の汽力発電に比べると、CO2排出量が4分の3になる」と強調する
蒸気の膨張力で蒸気タービンを回転させる従来型の汽力発電(600℃以下の比較的低温域での熱エネルギーを利用する)の発電効率は1960年時点で39.4%。最新の汽力発電でも熱効率は45.0%にとどまる(2007年)。
東京電力 川崎火力発電所長 兼 川崎火力建設所長の菅井 茂勝氏は「汽力発電は45年以上かけて、やっと5%の効率向上を果たしてきたのに対し、コンバインドサイクル発電はたった10年で同じだけの進化を遂げてきた」と話す。
進化のスピードが速いだけではない。従来型の汽力発電と比べた利点は、その効率の高さだ。「LNG燃料同士で比較した場合でも、コンバインドサイクル発電は汽力発電に比べて、燃料使用量、CO2排出量ともに25%ほど少なくてすむ。この圧倒的な環境負荷の少なさが特徴」と、東京電力 川崎火力発電所 渉外グループマネージャー 兼 川崎火力建設所 広報グループマネージャーの三浦 文雄氏は強調する。
火力発電の熱効率(発電端)の推移
汽力発電は蒸気タービンを高性能化することで、45年かけて5.6%と、徐々に熱効率の改善を重ねてきた。対してコンバインドサイクル発電は、ガスタービンの入口ガス温度を高温化することで、22年で12%もの効率向上を果たした。
※発電端熱効率は、タービンにつながれた発電機が発生した電力(発電端電力)を用いて算出する。また、発電端電力から、発電所内の補機や電灯などに使用する電力を差し引いて、実際に送り出す電力を送電端電力という
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※1 LHV=Lower Heating Value 、低位発熱量。燃料中の水分および燃焼によって生成された水蒸気の凝縮熱(蒸発潜熱)を差し引いて算出した熱効率。高位発熱量(HHV=Higher Heating Value)は蒸発潜熱を含む
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