このページの本文へ
ここから本文です

HSBCが批判されたワケ

よくある失敗の一つが対象範囲(バウンダリー)の設定ミスだ。どの排出源を自らの責任として排出量に含めるのかを明確にすることが必要である。重要な排出源を見落とし、自ら責任のある排出量の一部だけを削減して「カーボンニュートラルを達成」と公言しても筋が通らない。加えて、購入したクレジットでオフセットする前に、まず自ら削減の努力をすることも非常に重要だ。

最近までカーボンニュートラルに取り組む企業は好感をもってマスコミで取り上げられていた。しかし、今日では企業のカーボンニュートラルへの取り組みを厳しく批判する記事も多く見られる。大半は、クレジットの質の悪さを指摘するものだ。

クレジットとして本当に意味があるのは、温暖化ガスの削減量が「アディショナル(温暖化防止のための追加的な取り組み)」であることが重要だ。仮に削減量が「ビジネス・アズ・ユージュアル(business as usual:通常の経済活動に付随する行為)」であれば、温暖化防止のための取り組みではない。

英国に本社を置く大手金融グループのHSBCは2005年に金融機関で初めてカーボンニュートラルを達成したが、質の悪いクレジットを購入したとして環境団体から批判された。また、企業によっては自らのビジネスモデルそのものがカーボンニュートラルに適しているのかまず検討する必要がある。ミネラルウオーター製造の米フィジー・ウオーター・カンパニーは、カーボンニュートラルのステップを適切に踏んだにもかかわらず批判の対象となった。それは、同社の取り扱う商品(ボトルウオーター)自体が環境に配慮していないと評価されたことが原因だった。

企業にとって、温暖化問題の取り組みを利害関係者や消費者に示す手段としてカーボンニュートラルはとても効果的だ。カーボンニュートラルを達成する過程で、無駄をなくし、省エネを強化することで経費削減も可能である。日本でも温暖化問題への対応が国・消費者レベルでますます重要になるにつれ、先んじてカーボンニュートラルに取り組むことの利点は多い。今、カーボンニュートラルに戦略的に取り組むことが、来るべき低炭素社会に順応した、企業活動の指針となる。

排出量が多い大手企業は、事業活動から出る全温暖化ガスをニュートラル(排出ゼロ)にするのが難しいため、商品・サービスにカーボンオフセットの選択肢を設ける場合が多い


日経エコロジー(2008年10月号)
日経エコロジー(2008年10月号)より

 上記の記事「カーボンオフセット活用術(第6回)先を行く欧米企業の教訓 クレジットの中身が批判対象に」は、『日経エコロジー』2008年10月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年10月号掲載時の内容となっております。
 『日経エコロジー』は環境経営やCSR(企業の社会的責任)推進体制の構築、ISO14000の導入・運用を担当される方々に向けた、月刊ビジネス誌です。
 『日経エコロジー』のコンテンツや最新号の記事エッセンスなどについては、こちらのサイトでご覧いただけます。
 また『日経エコロジー』の年間ご購読の申し込みは、こちらで承っておりますので、どうぞよろしく願い致します。

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る