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集合住宅の住民がEVを使うことは可能か?

しかし、集合住宅の場合は戸建住宅とは違った難しさがある。ずばり料金徴収の問題だ。

最も簡単なのは駐車場に共用のコンセントを作り、共益費で電気料金をまかなう方法だが、契約者全員がEVユーザーとは限らないし、EVユーザーのなかでも使用頻度は人それぞれである。「全員が納得する仕組みを作るのは容易ではない」(伊藤忠都市開発 ブランド・価値開発推進室長 戸塚正昭氏)。

個々の駐車スペースに電源を設置して各自が電気料金を支払えば住民のコンセンサスはいらないが、その整備には多額の投資が必要だ。しかし、100Vで1時間充電しても電気料金は30円程度、仮に年間1万km走るとしても月々の電気料金は2000円にも満たない。設備を整えたところで、EVユーザーがゼロというケースも想定されるため、コストに見合わない可能性が高いのである。

東電の森尻氏は「EVにとって集合住宅は今後検討すべき点が多いのが現状」とし、さらにこう続けた。

「まずは企業や戸建住宅の方からEVを利用することになるでしょう。普及していけば、集合住宅の方でも利用できるような解決策が出てくるかもしれません。EVにはガソリン車にないメリットがあるのですから、できないことをあげつらうよりも、どう活用していくかを考えるほうがいいと思います」

森尻氏はガソリン車にないEVのメリットとして、CO2排出量削減効果とランニングコストの低減を挙げる。EVは走行中のCO2排出量がゼロで、発電時の排出量を考慮してもガソリン車の3分の1から4分の1程度に抑えられる。我が国で排出されるCO2のうち運輸部門は2割を占めるが、仮に乗用車すべてがEVに置き換わると、運輸部門の約4割のCO2が削減できる。これは日本全体の約8%に相当する。

経済性でもEVはガソリン車より優れる。森尻氏によれば「電気料金の単価は契約内容によって異なり、ガソリン代も日々変動しているが、少なめに見積もってもガソリン車の4分の1程度」になるという。計算方法によってはガソリン車の5分の1とも7分の1とも言われる。また、ガソリン車は渋滞中の燃費が悪いが、EVは渋滞していても通常走行時と“電費”にほとんど差がない。首都圏のように渋滞の多い地域にはもってこいというわけだ。

こうしたメリットを踏まえて、東電では今後も業務用車両としてEVを順次導入し、将来的には約3000台を導入するという目標値を掲げている。

一台あたりの年間CO2排出量(10,000km走行時)

一台あたりの年間CO2排出量(10,000km走行時)
※提供:東京電力

一台あたりの年間燃料費(10,000km走行時)

一台あたりの年間燃料費(10,000km走行時)
※提供:東京電力

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