排出枠付き商品を選択式で
排出枠付き宅配サービスを開発した背景には、「(京都議定書で定められた日本の削減目標である)マイナス6%に貢献したいが、どうしたらいいかわからない」という主婦層からの意見が多かったことがある。購入客が自ら費用を負担した方が貢献した実感をより得られると判断した。
ただし、強制はしない。費用を負担したくない場合は、排出枠付きでない従来の宅配サービスを選択できるようにしている。
大同ガス産業(高松市)は5月から、主力商品のLP(液化石油)ガスにカーボンオフセット付きのものを加えて販売している。LPガスを1m3燃焼させると6kgのCO2を排出する。これをCERの購入で相殺するのに必要な費用25円のうち15円を顧客から徴収し、残りを大同ガス産業が負担する。
楠本浩一社長は、「カーボンオフセット商品を提供することで顧客に(無駄なエネルギーを使わないという)意識を持ってほしかった。身銭を切らなければ意識の変革につながらない」と説明する。
カーボンオフセット付きLPガスを選ぶ顧客は、高効率のガスコンロやガス給湯器なども買ってくれるような優良顧客になる可能性が高い。オール電化攻勢は強まる一方だが、「カーボンオフセット商品はそれへの対抗策にもなる」(楠本社長)
消費者向け商品で相殺費用を価格に上乗せする場合、選択式にしたり、その趣旨をきちんと説明するなど細かい配慮をしないと、売り上げに影響する可能性もある。
一方、企業向け商品はむしろ費用を上乗せした方が購入客にとってCSRの意味合いが強くなり、受け入れやすくなることも考えられる。前述したMOTTOのカーボンオフセット付き再生ストレッチフィルムはその好例と言える。
ユニホームメーカーのサンエス(広島県福山市)や、パソコンのレンタル事業を手掛けるパシフィックネット(東京都港区)といった、企業を顧客とする事業者が、相殺費用を購入客が負担する方式のカーボンオフセット付き商品を発売している。
丸紅からCERを購入し、来年の春夏物からカーボンオフセット付きユニホームを販売する予定のサンエスは、「CSR調達の観点から、今後、(カーボンオフセットが)選択の基準になる可能性もある」(東京支店長の福永英二取締役)とみている。
商品・サービスにかかわる相殺費用を企業と購入客のどちらが負担するか。カーボンオフセットの理念からすれば購入客が負担するのが望ましいとされるが、消費者向け商品ではまだ少数派だ。カーボンオフセットの仕組みが過渡期にあり、多くの企業が現時点で価格に転嫁するのは時期尚早と考えている。カーボンオフセットにかかわる制度が整い、消費者の理解が進んだ段階で再検討することになりそうだ。

●相殺費用の負担者を決めるポイント
排出枠の購入費用などを企業が全額負担するか購入客にも負担を求めるかは目的に応じて決める

上記の記事「カーボンオフセット活用術(第5回)企業向け、消費者向けで違う」は、『日経エコロジー』2008年10月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年10月号掲載時の内容となっております。
『日経エコロジー』は環境経営やCSR(企業の社会的責任)推進体制の構築、ISO14000の導入・運用を担当される方々に向けた、月刊ビジネス誌です。
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