バイオエタノールは地球温暖化対策になるか?[バイオ燃料]
文/松永和紀(科学ジャーナリスト)

原油高騰に伴い、バイオ燃料が脚光を浴びている。トウモロコシの実やサトウキビからエタノールを、大豆やナタネなどの油分からバイオディーゼルを作る。無限にある太陽エネルギーを植物で化学エネルギーに変換して利用するのだ。
米国のブッシュ大統領が2006年1月の一般教書演説で、「米国は石油依存症」と述べ、バイオエタノールへの希望をぶち上げたことで、一気に関心が高まった。「植物から作るので環境に良く、地球温暖化防止に貢献できる」とも語られる。
だが、それほど単純な話ではないことが徐々に明らかになってきた。
2006年のバイオエタノール生産量は世界で約5105万kℓ(全ガソリン使用量の約4%に相当)、バイオディーゼルは約480万kℓ。特に、トウモロコシを使ったエタノール生産が米国で急増している。

米国は、エタノール生産業者などに優遇税制措置を講じるなどしてエタノール生産を推進。エタノールを85%混合したガソリン「E85」で走るトラックも見られる
米国のトウモロコシ生産量は世界の約4割を占めるが、そのうちの2割以上がエタノールという新需要に充てられている。このため、トウモロコシ価格が高騰した。シカゴ商品取引所で2000年ごろには1ブッシェル2ドル前後だったのが、今年2月には5ドル台になった。
トウモロコシは家畜飼料の主な原料になるため、同じく飼料となる大豆や小麦の引きも強まり、値上がりしている。大豆やナタネにはバイオディーゼルの需要もあるため、穀物が総じて値上がりした。
こうしたことから、バイオ燃料に対して「食料が奪われる」という批判が噴出した。米農務省出身でワールドウオッチ研究所を創設し、地球環境問題に取り組むレスター・ブラウン氏は、「世界の8億人の人々が所有する車が、約20億人の貧困層の人々と同じ食料資源を巡って競合している」と訴えている。
●世界のバイオエタノール生産量とトウモロコシ価格の推移

出所/ F. O. Licht(棒グラフ)、農林水産省資料を基に作成(折れ線グラフ)
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