拡大する“良心”のサプライチェーン年「環境価値」流通元年(第6回)認証制度/サラヤが認証パーム油を目指す
文/金子憲治、山根小雪(日経エコロジー)

森林、コーヒー、魚、そしてパーム油─。生物多様性などに配慮して生産したことを証明する認証制度の対象が広がる。そして、その方式は、生産物から環境価値を分離したクレジット方式が主流になりつつある。

「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」第5回会議。日本からはサラヤのほか花王やライオン、三井物産、豊田通商などが出席。国内のパーム油需要の9割は食品用途だが、食品企業の関心は低い
2007年11月20~22日、クアラルンプールで、「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」の第5回目となる会議が開かれた。世界28カ国から540人が参加した。
RSPOは、持続的なパーム油の生産・利用を探ろうと設立された国際的なNGO(非政府組織)。2001年にWWF(世界自然保護基金)が構想し、大手プランテーション企業や英蘭ユニリーバなどが加わり、2003年に第1回の円卓会議が開かれた。現在では約150団体が加入する。
当初から、持続可能なパーム農園を認定する第三者認証制度の創設を目指してきた。2005年には認証の基準となる8原則を採択、その1つに「環境への責任と、自然資源および生物多様性の保全」がうたわれた。 そして、2007年の会議では、具体的な認証の仕組みについて、最終的に承認された。そこで認証制度としては画期的な方式が決まった。

●RSPO認証のクレジット方式
RSPO 認証は3つの方式から選べる。(1)認証されたパーム(アブラヤシ)と非認証パームを収穫から製油、製品化まで完全に分別し、認証パーム油を使った製品に認証マークを付ける。(2)認証パームと非認証パームの混合割合を製品化まで管理し、混合比率(%)付きの認証マークを付ける。(3)認証パームの収穫段階から、持続可能な手法で生産した「環境価値」を分離し、生産量に応じて「認証クレジット」として取引するものだ。この認証クレジットを購入すれば、仮に非認証パームから作った製品でもRSPO認証マークを付けられる。

認証された農園は、第三者の監査を受け、認証クレジットを発行できる。ヤシノミ洗剤(上)を商品化するサラヤは、クレジットの購入を予定
画期的というのは、(3)のクレジット方式が採用されたことだ。これは事実上、グリーン電力や排出権の仕組みと同じだ。RSPOの認証農園は、パーム油の売り上げのほかに認証クレジットの販売収入を得られる。そして、その売り上げを手間のかかる生物多様性の保全活動に使える。
実際、3方式の中では、「ほとんどのパーム油製品会社は、認証クレジットを購入するだろう」と、サラヤ(大阪市東住吉区)の代島裕世・広告宣伝部部長はみている。その理由は、認証クレジットを購入した方が、認証付きの現物を購入して分別管理し続けるより、コストが安くなる可能性が高いからだ。
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