拡大する“良心”のサプライチェーン年「環境価値」流通元年(第2回)グリーン電力証書/JTBが商品化
文/金子憲治、山根小雪(日経エコロジー)、イラスト/タジマヤスタカ

旅行や携帯電話の充電など、少額分のグリーン電力を買える商品が登場してきた。企業の工場や本社ビル用に大量に使うケースと異なり、企業はもちろん、一般消費者でも簡単に買える点が魅力だ。
社員向け環境教育ツールとして注目を集めている商品がある。JTB 関東(さいたま市)が提供中の「CO2ゼロ旅行」である。社員旅行の移動や宿泊で消費するエネルギーを、グリーン電力証書を使ってオフセット(相殺)する商品だ。
旅行代金は、通常代金にグリーン電力証書代を上乗せしたもの。証書代は、移動手段や距離などによって異なるが、新幹線で東京から京都へ行く場合で、1人当たり約500円かかる。法人向け旅行はコスト勝負になりがちな商品。だが、CO2ゼロ旅行を採用した企業の担当者は、「コストアップは気にならなかった」と口をそろえる。グリーン電力証書に、額面以上の価値を見いだしているのだ。 金属プレス加工を得意とする清国ジャパン(群馬県太田市)は、2年に1度の社員旅行にCO2ゼロ旅行を採用した。企画した金井勝・管理統括部統括部長は、「社員が環境を意識するきっかけを作りたかった」と採用の意図を明かす。

清国ジャパンは社員旅行を環境教育の場にするためにCO2ゼロ旅行を利用した。旅行に参加すると、社名入りのグリーン電力証書を発行してもらえる
清国ジャパンの社員約40人は、11月8~9日の2日間、新幹線と公共交通機関を乗り継いでユニバーサル・スタジオ・ジャパンに出かけた。旅行時には、CO2ゼロ旅行の趣旨を説明するのはもちろん、現地での移動はタクシーを避け、公共交通機関を利用した。さらに、ホテルから宴会場に向かう道のりは、全員で30分かけて歩いた。「社員からは不満の声も上がったが、環境配慮の意味を理解してもらういい機会になった」(金井統括部長)と実感している。金井統括部長は、「仕事だから行動するのと自発的に行動するのでは雲泥の差。意識を変えるきっかけを作れるなら費用負担は高くない」と話す。
バンダイナムコも、グループ各社の環境担当者約100人を集めた研修旅行で、CO2ゼロ旅行を採用した。「コンペの結果、通常利用しているグループ内の代理店ではなくJTB 関東を採用した」(バンダイナムコホールディングス経営企画部の小野薫シニアエキスパート)という。同社にとってのCO2ゼロ旅行は、研修素材の1つという位置付け。小野シニアエキスパートは、「環境に配慮したパッケージ商品の良い事例を社員自らが体験することで、自社での開発につなげてもらえたら」と期待していた。結果的に、清国ジャパン同様、「研修費用として十分な効果があった」と満足げだ。

バンダイナムコは自然体験などを盛り込んだ研修旅行に「CO2ゼロ旅行」を採用した。CO2ゼロ旅行には、「GREENSHOES 」と呼ぶブランドが付けてある(右)
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