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拡大する“良心”のサプライチェーン年「環境価値」流通元年(第2回)環境価値/排出権/“CO2”で売る年賀状

2008年3月21日

文/金子憲治、山根小雪(日経エコロジー)、イラスト/タジマヤスタカ

排出権/“CO2”で売る年賀状

排出権が消費者向けのマーケティング・ツールとして活用され始めた。カーボンオフセット年賀状をはじめとする消費者向けの排出権関連商品が次々に登場。環境価値が商品の魅力を高める時代が到来した。

電気はこまめに消しているし、多少寒くてもエアコンの温度は下げている。スーパーに行くときはマイバッグを欠かさない。家庭での省エネを心がけているが、それでもテレビでは連日、地球温暖化の進行を訴える番組が放映されている──。

そんなもどかしい気持ちを、ちょっとだけ満たしてくれる商品が出てきた。消費者向けの排出権関連商品である。排出権とは、地球のどこかで誰かが温暖化ガスの排出を削減することで生まれる「温暖化ガス削減価値」である。

日本郵政が2008年正月向けに1億枚発行した「カーボンオフセット年賀」や、西友のマイバッグなどの新商品は、排出権を付けることで消費者がCO2削減に寄与できるようにしてある。企業にとってはCSR(企業の社会的責任)であると同時に、消費者向けの新たな販促ツールなのだ。

排出権には複数の種類があるが、消費者向け商品の大半で使われているのが、京都議定書が定めるCDM(クリーン開発メカニズム)から発行される排出権(CER)である。途上国での温暖化ガス削減事業を国連が承認したものだ。「国連がCO2削減効果を承認したCERなら、消費者に確かなCO2削減効果を訴えられるからだ」(日本カーボンオフセットの村上賢之事務局長)

これまでCERは、ごく一部の大手企業だけが購入していた。業界ごとにCO2の削減目標を掲げる「自主行動計画」の達成を目指して、産業界は省エネを進めている。なかでも電力と鉄鋼の2業種は、未達成分をCERの購入で補充することを政府と約束している。この2業種の企業が世界各国からCERを大量に購入しているのには、規制に近い必要性があるのだ。現時点で他業種には、こうした必要性はない。だが、将来の規制リスクに備えて、CERを購入する企業は少なくない。

●排出権の使い方

●排出権の使い方
注:EU ETSとは欧州排出権取引制度

企業と消費者向けの調達では、大きく2つ相違点がある。第1が調達量。大手企業は5万t 以上で購入するのが通常だが、消費者向け商品では1kg単位と、けた違いに少量だ。

第2が取引の仕方である。これまで排出権の現物は国連にあり、日本にはなかったため、排出権を「取得する権利」の取引だった。2007年11月に国連の排出権管理システムが稼働したことで、ようやく現物の排出権が手に入るようになった。

消費者向けの排出権関連商品が続々と登場してきたのは、この変化が大きい。「状況を理解した大手企業なら権利ベースの取引でも問題ないが、消費者向けは確実に購入できる現物を使わないと理解を得られない」(三菱UFJ信託銀行・フロンティア戦略企画部デベロップメントグループの相幸子主任調査役)からだ。

排出権の現物が手に入るようになったことで、排出権を小口で提供する信託商品が動き出し、企業と消費者の間に立って排出権を調達する中間事業者も立ち上がってきた。これに伴って、排出権関連商品が一斉に市場に投入され始めたのである。

海外でのCO2削減活動が排出権を生む

●海外でのCO2削減活動が排出権を生む
左は国際協力銀行が融資した三菱重工業によるブルガリア・カリアクラ風力発電事業の搬入風景。上は韓国ウルサン市のフロン回収・破壊事業


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