このページの本文へ
ここから本文です

“マイ箸”文化と
国産割り箸への誤解

――最近、マイ箸という言葉と共に、自分の箸を持ち歩くという人が増えてきたように思いますが、この背景にはどんなことがあると思いますか?

高橋 隆太氏(以下、敬称略):  “マイ箸”という言葉を使い始めたのは僕なのですが、その時は今日のように“マイ箸ブーム”というべき状況が訪れるとは想像できなかったですね。当時は「箸を持つことがカッコいい時代になったらいいなあ」と、ずっと考えていました。

マイ箸を持つ人が多くなった背景には、1970年代以降に外食する機会やコンビニなどが増えて、以前よりもずっと「割り箸」を使う機会が多くなったことがあると思います。そこにもってきて地球温暖化などの環境問題が大きくクローズアップされるようになり、皆さんが割り箸を捨てるたびに、何となく後ろめたい気分になる、ということがあったのだと思います。そんなことが理由で、割り箸を使う機会を減らそうと考える人が増えてきたのが、1つの大きな要因だと思います。

「銀座夏野」店主 高橋 隆太氏

「銀座夏野」店主 高橋 隆太氏

――林野庁が平成17年に公表した数字によると、割り箸は日本国内で年間250億膳です。これを日本人1人あたりに計算すると、1人あたり年間200膳を消費することになります。その分、森林資源を使っている訳で、割り箸は環境破壊の原因の1つだと思っている人も少なくないと思いますが、実際はどうなのでしょうか?

高橋:  「割り箸=環境破壊の元凶」といった見方には誤解が多いですね。割り箸については国産と外国産とを分けて考える必要があると思います。

まず国産の割り箸は、主に奈良県の吉野などで作られています。その原材料には間伐材を使用すると思っている人が結構いるみたいですが、実は間伐材で割り箸を作っている比率は非常に少ないのです。というのは、林業が衰退して間伐材を切らないか、切っても森から運び出すコストが高すぎて、それで割り箸を作ることができなくなっているからなんですね。最近の割り箸の材料は、木材を角材として製材する時に出る三日月状の余剰材です(図1参照)。

つまり、ただ割り箸のために木を切り倒しているのではなく、余剰材を無駄なく有効利用している訳なんですよ。そのような意味で、「割り箸=環境破壊」というのは実は短絡的な発想だということです。

図1 角材製材の際に出る三日月状の余剰材

図1 角材製材の際に出る三日月状の余剰材

――それは意外ですね。むしろ「国産割り箸=資源の有効活用=エコロジー」という側 面があるのですか。

高橋:  しかし、国産材の割り箸がコスト面で割高になることから、現在では割り箸の98%は輸入に頼っているのが実情です。その結果として、割り箸製作が中国をはじめ東アジアや東南アジア諸国の森林伐採につながっていることは否定できません。だから、割り箸を語る時に僕はずっと、「国産と外国産と分けて考えて欲しい」と言い続けているんですよ。

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る