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地産地消を一過性のブームで終わらせないために

現在、直売所の数は全国に1万2000件ほどあり、件数はこの10年間であまり変動していない。櫻井氏は「販売施設数としては現状が頭打ち」と見ている。今後、地産地消の取り組みはどのように変化していくだろうか。

「生産物の質、販売拠点である直売所の質、コミュニティとしての質などが向上していくのではないかと見ています。逆に地産地消が縮小するとしたら、質の低下が原因になるでしょうね」(櫻井氏)。

地産地消が起こり始めた当時と比べて、現状の直売所はコミュニティやコミュニケーションの場としての質が落ちていると、櫻井氏は指摘する。一番の問題は規模が大きくなり、物珍しさがなくなったことで、生産者が売り場に顔を出す頻度が減っていることだ。

消費者との接点を持たなければ、通常の流通と変わらない。スーパーは規格に合った見栄えの良い食材を通年で安定量を取りそろえ、種々雑多な商品を取扱い、消費者主導の売り場作りを徹底しているが、直売所はそうはいかない。コミュニティ機能やコミュニケーションの機会を失えば、規格外品を安価に販売するだけの店になり、値引き合戦に陥る可能性が高いだろう。

千葉大学 大学院 園芸学研究科 食料資源経済学コース 准教授 櫻井 清一 氏

地産地消には多くの人がかかわる。様々な意見があるだろうが、生産者と消費者の交流、生産者と生産者の交流があって初めて、様々な微調整が可能だ。

消費者の声を反映して品ぞろえを検討したり、生産者同士で売り場や販売方法の改善を試みたり、地元の魅力をアピールするイベント等の施策を練ったり、様々な質を向上させるためのコミュニケーションが必須だと櫻井氏はいう。

「環境問題にしてもそうです。話し合うことで色々な知見が出てくるかもしれません。例えば、生産者の輸送におけるエネルギー消費を抑えるために、個別納品ではなく、当番制で集荷を行うのもいいかもしれない。そうなると個々の生産者が直売所へ行く頻度は減りますから、消費者とのコミュニケーションをなくさないために、店頭に立つ日数を決めるといった手立ても必要になるかもしれません」(櫻井氏)。

生産者と消費者のコミュニケーションは、お互いの顔を知ることにもつながる。冒頭で述べたような食品偽装や、数年前に問題視された無登録農薬使用のような問題も、「身近に消費者の目が光っていると思えば、ある程度の抑止効果が期待できる」(櫻井氏)だろう。

「地元で生産したものを地元で消費することが地産地消ですが、それだけで完結するのではなく、コミュニティ形成や地域活性化、地域の環境保護など、様々なテーマにつながるきっかけとして、とらえるほうがいいでしょうね」(櫻井氏)。

次回以降の中編と後編では、個別の事例を見ながら、地産地消を定着させるための秘訣を探っていきたい。


中編に続く

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