意外に知らない基礎知識 理解を深める7つのQ&A
文/日経エコロジー
温暖化問題はいつ始まったの?
「あれがいま爆発すれば、(炭酸)ガスは(中略)地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろう」
宮沢賢治が1932年に発表した小説『グスコーブドリの伝記』では、冷害から農民を守るために、主人公が命と引き換えに火山を噴火させる。
CO2が温室効果を持つこと自体は19世紀から知られており、1896年にスウェーデンの物理・化学者のアレニウスが、人間の活動で地球が温暖化する可能性があることを初めて指摘した。アレニウスはCO2濃度が倍増すると地球の平均気温が5~6℃上がると試算した。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書では、この数字を「2~4.5℃である可能性が高い」としており、最新の知見と比べてもかけ離れていないことがわかる。ただ、複雑な気候の仕組みを極めて簡略化した試算であり、理論を裏付ける観測事実がなかったため注目されなかった。
気候変動の事実が観測されたのは、それから半世紀以上たった1960年のこと。米国の気象学者キーリングが、国際地球観測年以降に自らが観測した南極点とハワイのマウナロア山のCO2濃度の時系列データを分析し、大気中のCO2濃度が上がっていることを明らかにしたのだ。ただ、戦後から気温の下落傾向が続いていたこともあり、70年代になっても専門家の間で温暖化と寒冷化どちらに向かうのかは、意見が分かれていた。
その後、コンピューターの計算能力が向上したこともあり、日本から米国に渡った気象学者の真鍋淑郎らが、大気の振る舞いを再現する気候モデルを開発し、CO2が倍増すると約3.5℃気温が上がると試算した。
様々な観測事実と、環境問題全般への意識の高まりから、80年代に入ると専門家以外にも広く温暖化問題が知られるようになる。そうした中、科学者が具体的な対策を求めて声を上げたのが、85年にオーストリアで開かれたフィラハ会議だった。
続く88年にカナダのトロントで開かれた国際会議では、「2005年までにCO2排出量を1988年比で20%削減すべき」という声明が発表された。そしてついに、92年の地球サミットで気候変動枠組条約が採択され、97年の京都議定書へとつながった。

●温暖化問題の経緯
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