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大氷山が崩壊して気候変動

気候変動に③海の循環の影響を指摘するのが、国立極地研の藤井所長だ。最近の新しい発見として、南極やグリーンランドの氷床の下には岩盤との間に水があることが明らかになった。「南極の氷床は湖の上に浮いていると考えてもよい」と藤井所長は言う。この水は地球内部からの熱で氷を解かしてできたものだ。

この水は何を意味するのだろうか。南極や北極の海底に眠る有孔虫や堆積物を調べたところ、過去に大きな氷山が大分裂した後に地球の気温と海水温が同時に上昇している痕跡が見つかった。

藤井所長はこう考える。「氷の下に水がたまると、ある時に氷が大分裂して水の上を滑り、海に流れ込む。海水は冷えて深層に沈み込み、深層循環のスイッチをオンにする」。深層循環とは地球の海を2000年かけて巡る深層流のことで、地球の気候を安定に保つ。そのスイッチのオンオフを担うのが氷山だという考えだ。

地球科学者や雪氷学者は、地球の気候変動は大気と海洋だけでなく、中心核から電離圏や太陽圏までの複合システムでとらえるべきと考える。

例えば、地球はこれまで何度も氷河時代を経験し、全球が凍結する事態にも陥った。その時に何が起きていたかは、大気と海洋の結合モデルだけでは説明できない。「地球史を調べると地球磁場は変動しており、全球凍結は磁場が弱い時期に起きている(下図)。磁場が弱まれば宇宙線が入りやすく、雲が増えて寒冷化をもたらしたと考えられる」と、東京工業大学の丸山茂徳教授は説明する。

●地球の磁場の変化

●地球の磁場の変化
出所/東京工業大学の河野長氏や丸山茂徳氏の図

過去の地球で起きた大きな気候変動を知ることは、現在や未来の急激な気候変動の解明につながる。しかし今回、「温暖化の主犯はCO2」とIPCCが強く打ち出したことで、「これからはCO2対策だ、解明はもういいという風潮が出つつある。しかし、複雑な地球システムのほんの一部しか人類はまだ知り得ていない」と心配する科学者もいる。

予防原則に従ってCO2対策は既に始まっている。省エネルギーは持続可能な社会を作るためにも必要だが、コスト負担だけが増すCO2地中貯留まで視野に入ってきた昨今、温暖化の犯人の見極めが不可欠だ。人為CO2だけに限定せず、幅広く研究を続けていくことが大切だ。

日経エコロジー(2007年7月号)
日経エコロジー(2007年7月号)より

上記の記事「依然くすぶる懐疑論 人為CO2以外に犯人も?」は、『日経エコロジー』2007年7月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2007年7月号掲載時の内容となっております。
 『日経エコロジー』は環境経営やCSR(企業の社会的責任)推進体制の構築、ISO14000の導入・運用を担当される方々に向けた、月刊ビジネス誌です。
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