CO2は原因か結果か
4番目のチェックリストは、「気温上昇が先に起きて、その結果として海に溶けたCO2が出てきて大気中のCO2が増えたのでないか」という疑問だ。そうした疑問は下の図の観測結果から生じた。気温が先に増減し、その後にCO2濃度が変化している。

●気温が先なのはなぜか
ハワイのマウナロア山と南極で測定されたCO2濃度の平均値と世界平均気温。毎年の変動だけを見た
出所/C.D. Keeling, Geophysical Monograph55(1989)210
東北大学の中澤高清教授によれば、これはエルニーニョ現象などでまず気温が上がった時のもので、それに伴って陸上生物圏のCO2放出量が増し、干ばつや短寿命の草が放出するCO2も加わり、CO2濃度が追いかけるように増加したという。
ただこうした現象は短期的なもので、地球温暖化で問題になっている長期的なCO2上昇とは別次元の話だという。現在の温暖化はまず強制的に外から加えられたCO2が大気中に増える。これが海や陸に吸収されるが、全部は吸収されず、大気中に残って温室効果を引き起こす。

●地球の炭素循環(1990年代)
大気と海、陸の間をCO2が出入りし、化石燃料由来のCO2の一部が海と陸に吸収される。海と陸の大きな炭素貯蔵量に比べると出入りする量は小さい。赤線は人為起源のCO2、黒線は自然起源のCO2
出所/IPCC第4次評価報告書
ちなみに、海や陸はどれだけCO2を吸収してくれるのか。その様子を表したのが「炭素循環」の図(上)だ。大気も海洋も膨大な量の炭素を貯蔵し、常時CO2を放出したり吸収したりして炭素をやり取りしている。CO2の炭素の量はGtC(10億t炭素)で表現する。
統計などから1990年代には人類は毎年6.4GtCのCO2を排出した(100ppmが210GtCに相当)。大気中のCO2濃度や大気と海洋の炭素の同位体比などから計算すると、海は毎年2.2GtCを吸収し、陸は毎年2.6GtCを吸収したことが弾き出される。つまり海は人間が出したCO2の約3割を吸収していることになる。
「100年間に0.76℃の気温上昇で海から出てきたCO2量は十分に小さく、近年の大気中CO2濃度の急増は人為CO2によるもの」と中澤教授は言う。
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