エネルギーインフラを売る
太陽電池でも、本業に取り込む動きが活発化してきた。住宅メーカーや建材メーカーにとって、太陽電池は家や建材の付加価値を上げるツールになる。
積水化学工業の光熱費ゼロ住宅は、太陽光発電システムとオール電化設備などを採用し、太陽光発電による余剰電力を売電して年間光熱費をゼロにする住宅。その物件数は2006年3月の5800棟から2007年3月には7800棟へと増えている。
「最終的に目指すのは、太陽電池だけでなく、風車や燃料電池も装備し、パワーコンディショナーで最適制御しながら消費電力を管理できる家」と、住宅事業部企画部環境・エネルギー技術担当の塩将一主席技術員は言う。太陽光の成功を足掛かりに、住宅メーカーがエネルギーインフラを売る時代がやってくる。
その住宅メーカーに部材を供給する建材メーカーもまた、太陽電池を差別化の切り札に使おうとしている。金属屋根大手の三晃金属工業(東京都港区)は、富士電機システムズが開発した、自由に折り曲げられるフィルム状の太陽電池を利用し、太陽電池一体型の湾曲屋根を製品化している。体育館や学校には古くて補強工事のできない屋根やかまぼこ型の屋根が多い。自由な形状の屋根はそうした需要を見込んでいる。

金属屋根大手の三晃金属工業は、富士電機システムズ製の折り曲げ可能なフィルム状太陽電池を利用して、湾曲した太陽電池一体型の屋根を製品化。曲面屋根に採用されている
フィルム状太陽電池を防水シートに組み込んだ企業もある。筒中シート防水(東京都中央区)で、4月から試験販売を始める。
建築防水の分野では、近年、シートを使う防水工法が伸び、全体の約3割を占めるという。例えばマンション改修時、シート防水なら新たなシートを上からかぶせるだけでよく、「工期が短くて廃材も出ないため、コストを抑えられる方法として需要が高まっている」と、草部一也・東京支店支店長代理は話す。

筒中シート防水が開発した太陽電池一体型防水シート。左は同社奈良工場の屋根に設置する様子。裏面の配線を接続することで電力が取り出せる
防水シートの差別化のため、さらに太陽電池を一体化したのが、今回の製品だ(上の写真)。1枚の防水シートは長さ4m、幅50cmで、96Wを発電する。「この2カ月半で100件近い問い合わせがあった」
通常の防水シートより高価だが、太陽電池を屋上に設置する予定の顧客にとっては、防水の改修も一緒にできるメリットがある。防水シートの上に太陽電池を設置すると防水シートの保守が大変だが、一体型ならその心配はない。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、建材一体型で4kW 以上の太陽光発電システムに対し、事業経費の2分の1を負担する助成金制度を設けている。「この助成金を使えば採算に乗る。フィルム状太陽電池の登場によって新しい応用分野が切り開けた」と草部支店長代理の表情は明るい。風力や太陽光発電の成長は、周辺ビジネスにも波及効果をもたらしている。
(2007年6月12日掲載予定の第5回に続く)

上記の記事「立ち上がる巨大市場で地力発揮する日本企業 太陽と風で飛躍せよ!(第4回)巨大市場を自らの本業に取り込め 運搬や保守、建材に波及効果」は、『日経エコロジー』2007年5月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2007年5月号掲載時の内容となっております。
『日経エコロジー』は環境経営やCSR(企業の社会的責任)推進体制の構築、ISO14000の導入・運用を担当される方々に向けた、月刊ビジネス誌です。
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