風車の故障の多さに着目
設置後の風力発電設備を悩ます最大のトラブルは故障だ。最も多いのは、ナセルの中の増速機の不具合と、落雷や突風による羽根の破損。このため、風力発電設備に修理・保守(メンテナンス)は欠かせない。
電力工事用の昇降機や修理・保守装置を開発してきた櫻井技研工業(愛知県春日井市)はそこに目を付け、風力発電設備の修理・保守装置の製造やリースに参入した。

櫻井技研工業の風車用の修理・保守装置は、きこりの技術をヒントに、帯を巻きながらタワーをよじ登り、作業ステージを設置。ステージ上で羽根の補修を行える
風力発電設備のナセルを補修するには、タワーの内部を登っていくしかない。そこで同社は2001年にタワー内の昇降機を製品化。タワー内壁にラックレールを設置し、そこを上下する昇降機で、既に286台を納入し、2007~2008年度分も含めると合計691台を納入する。主にユーラスエナジージャパン(東京都港区)の設備に採用されている。
一方、羽根の修理や点検、タワーの塗装などは風力発電設備の外側から行うしかない。同社はそのためにタワーをしゃくとり虫のようによじ登っていく修理・保守装置も開発した。従来、外側からの修理・保守は大型クレーンにゴンドラをつるして実施するのが常だった。しかし、不安定な上、強風時には作業を中断せざるを得ない。大型クレーンを搬入すれば公園や牧場など周辺の環境を破壊することもあり、地権者への補償や自然復元費用が発生する。
こうした問題を解決したのが、櫻井技研の修理・保守装置である。クレーンを使わず、きこりの木登り術にヒントを得て、タワーを登る。
タワーの外周に金属製の帯を巻き、上方向に長さ1.5mの4本のレールを延ばして昇降機で移動。再び金属製の帯を巻いてレールを延ばすという作業を繰り返す。タワー最上部から滑車で作業用ステージを巻き上げ、ステージ上で修理・保守を行うという仕組みだ。
この修理・保守装置はばらして2tトラック3台で運べる。組み立てと撤去にかかる時間はそれぞれ1日。大型クレーンのように公園の柵を外すなど事前工事は要らない。装置を貸し出し、地元作業者が保守を行えるようにもしている。現場への搬入しやすさや安定した作業性が評価され、2006年度新エネ大賞の経済産業大臣賞を受賞した。「風車建設地は、大型クレーンや重機の搬入が可能な場所と困難な場所が半々。困難な場所にはこの装置が生きる。可能な場所でも、補償費や復元費が要らないため、大型クレーンを使う方法より安価にできる」(櫻井靖久社長)
修理・保守装置は2005年11月から2007年3月までに20基の風力発電設備の補修に利用された。
風力設備用の昇降機と修理・保守装置の事業は、「ここ数年急成長した」と櫻井社長は言う。今後は拡大する海外市場への出荷も視野に入れる。単独での輸出は難しいため、商社や風力発電設備メーカーなどと組むか、メーカーに部品として納入するか、様々な販路を模索している。
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