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立ち上がる巨大市場で地力発揮する日本企業 太陽と風で飛躍せよ!(第3回)

2007年5月25日

第1回第2回はこちらからどうぞ)

文/金子憲治、藤田 香(日経エコロジー) イラスト/タジマヤスタカ

大手支える中小のものづくり
誘導型発電機を使った風力発電設備の仕組み

誘導型発電機を使った風力発電設備の仕組み。三菱重工業の場合、自社工場で製造している主要部品は羽根だけで、発電機や増速機などは外部調達

三菱重工業の長崎造船所にある風力発電設備の工場では、全長6mもあるナセル(右の図)下側の台板が量産ライン上を進むに従い、人の背丈ほどもある増速機(ギア)や、発電機が取り付けられていく。

三菱重工は「風力発電設備メーカー」と呼ばれるが、同社の風車工場の工程は「組み立て作業」にすぎない。主要構成部品である発電機や増速機、ナセルの台板やカバーなど、500~600に達する部品や部材は外部メーカーに製造を委託したり、汎用品を購入する。自社生産する主要部品は羽根(ブレード)など一部だ。

こうした産業構造は、すそ野に幅広い協力会社を形成する自動車業界に近い。逆に言えば、優秀なサプライヤー(部品納入業者)が存在して初めて高品質な風力発電設備が造れる。

なかでも、風力発電設備の信頼性を左右するキーデバイスが増速機だ。羽根の回転力を発電機に伝える際、複数の歯車を介することで回転数を上げる役割を持つ。7~11個もの歯車が高速で回転するだけに、風力発電設備の中で最も故障が多い。

風力発電設備大手のシーメンスやスズロンが、有力な増速機メーカーを買収するなど、風車大手が技術力を持った増速機メーカーを囲い込む動きが活発化している。

このキーデバイスを三菱重工と共同開発しているのが、石橋製作所(福岡県直方市)だ。従業員は150人。中堅の増・減速機メーカーである。同社は、三菱重工の増産に合わせ、10億円を超える設備投資に踏み切った。現在、出力1000kWの風車向け増速機を年間700台製造しているが、来年には1200台に引き上げる。

「風車用の増速機が欲しい」。三菱重工・長崎造船所からこんな電話が入ったのは1996年。当時、石橋製作所はドイツの機械メーカー大手と資本提携していた(2001年に提携を解消)。そのドイツメーカーが、風車用増速機を製造していた。

これを機に石橋製作所は、ドイツから増速機を輸入し始めたが、ドイツメーカーは、急増する欧州の需要に応ずるのが精一杯。そこで、国産化に取り組み、風車用増速機の設計・製造技術を蓄積していった。

増速機の信頼性を決めるのは、風車の特性に合わせた構造設計と、精度の高い歯車の製造技術などだ。

90年代後半、風車の急速な大型化に伴い、増速機にかかる荷重が増し、故障が増えていた。石橋製作所は、こうした他社の教訓も参考にして耐久性の高い設計を実現した。

石橋製作所

出所:東京商工リサーチ
石橋製作所は、風力発電設備用の増速機を製造している。増速機の受注が増え業績は好調で、今期は売上高60億円を超えそうだ。写真は三菱重工の風力発電設備(1000kW )に搭載される増速機

また、国内の増・減速機メーカーに先駆けて、1台数億円するドイツ製の成形研削盤を導入した。この研削盤は、数値制御により一度で高精度に大型歯車の歯を刻める。それまで、大型歯車は少しずつ削って、歯を刻んでいた。ドイツの機械メーカーと提携していた強みを生かし、石橋製作所はこの最新の成形研削盤を使いこなすノウハウを高めていった。これによって、歯車製造の精度と生産性は飛躍的に向上した。

加えて、検査体制を徹底した。各工程でその都度、部品に欠陥がないかチェックし、完成後は全品で実際の負荷をかけた稼働試験をしている。

「海外の風車用増速機メーカーで、ここまで検査を徹底している企業はない。欧米製増速機に比べても故障が少ないと評価されている」と、石橋克彦社長は自信を見せる。

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