電池の寿命に泣かされる
今のところ、次世代の自動車用二次電池の筆頭に挙がっているのが、携帯電話やノートパソコンの電源として広く普及しているリチウムイオン電池だ。
90年代半ばから開発が本格化したリチウムイオン電池は、従来の鉛蓄電池やニッケル水素電池をはるかにしのぐ勢いで性能が上がっている。単位体積当たりどれだけの電力量を取り出せるかを表す体積エネルギー密度は、ここ15年間で5.2倍になった。リチウムイオン電池が登場する前の15年間の改善率が1.8倍だったことを考えればその差は明らかだ。

リチウムイオン電池は15年でエネルギー密度が5.2倍になった。従来の二次電池と違い、短期間で性能が向上しており、中核技術として電気自動車の普及ヘ大きなカギを握る
出所:「新世代自動車の基礎となる次世代電池技術に関する研究会」での松下電池工業の資料
富士重工は2002年5月に、NECと共同でNECラミリオンエナジーを設立し、ハイブリッド車用のリチウムイオン電池の研究に取り組んできた。昨年3月に合弁を解消したが、東京電力との共同研究で使用しているR1eには、NECラミリオンエナジー製の二次電池を搭載している。

東京電力が開発した急速充電器は、約15分で電池容量の80%まで充電できる。

NECラミリオンエナジーが開発したラミネート型リチウムイオン電池。自動車用電池の課題だった小型・軽量化を進めるとともに、急速充電性にも優れる
このリチウムイオン電池は、電極の正極と負極、セパレーターを何層も重ねたラミネート構造を採用し、小さくて軽い上に大電流を流せるという特長がある。放熱性にも優れるため、繰り返しの充放電に強く急速充電にも耐えられる。試験車両は約15分で電池容量の80%まで充電でき、寿命は10年間程度という。
富士重工はかつて、二次電池の寿命に泣かされた経験がある。官庁に納めた鉛蓄電池搭載の電気自動車が、想定よりも短い、わずか1〜2年しかもたなかった。原因は、容量がそれほど減っていない状態で充電を繰り返したからだった。頻繁に充電すると二次電池の性能は劣化する。
富士重工スバル技術本部技術開発部の荒井一真主査は、「価格が高く、寿命に不安を持たれるようでは、せっかくのチャンスを逃がしてしまう」と言う。
エネルギー密度や寿命のほかにも課題はある。安全性だ。昨年、ソニーや三洋電機の子会社が製造したリチウムイオン電池が、過熱・不具合を起こしたのは記憶に新しい。これらの二次電池を搭載していたノートパソコンや携帯電話と比べて、自動車は使用環境が厳しく、さらに高度な安全対策が求められる。
加えて「プラグイン・ハイブリッド車には、独特の難しさがある」と、ホンダ環境安全企画室の篠原道雄・社会環境技術主幹は指摘する。通常のハイブリッド車の場合、二次電池の充放電はかなり精ちに制御できる。ところが外部からの充電が可能なプラグイン・ハイブリッド車では、「まめに充電する人、ほとんど充電しない人など様々な使い方をされる。使用条件の違いが二次電池の寿命や安全性にどんな影響を及ぼすか見極めが難しい」(篠原主幹)。
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