燃料で変わる自動車(中編)

田中太郎、相馬隆宏(日経エコロジー)、高田憲一(日経ものづくり)
イラスト/大寺 聡
(前編はこちらからどうぞ)
ハイブリッド車や燃料電池車といった新型のエコカーの登場で、次世代自動車の主役争いで最後尾に追いやられていた電気自動車が息を吹き返そうとしている。二次電池の性能向上が主因だが、そこへ強力な助っ人が加わりそうだ。
トヨタ、プラグインの開発も
2006年6月13日のトヨタ環境フォーラムで、渡辺捷昭トヨタ自動車社長は「プラグイン・ハイブリッド車が新しい可能性として見えてきた。(商品化に向けて)さらに開発を加速させたい」と表明。同時に、次世代ハイブリッドシステムはコスト半減を目指すことを明かした。日産自動車もプラグイン・ハイブリッド車の研究開発推進を打ち出している。
プラグインとは、文字通りプラグを差し込んで充電できる機能のこと。家庭や職場で手軽に充電が可能になる。それだけではない。プラグイン・ハイブリッド車の本質的な特長は、エンジンを動かさず、電気自動車として相当な距離を走行できることだ。
例えば、「都市部は排出ガスを全く出さない電気自動車として走行し、郊外に出たらハイブリッド走行する」、あるいは「通勤は電気自動車、遠出する時はハイブリッド車」という使い方ができる。しかも「業務用電力を使った場合、電気走行1km当たりの電気代は約1円。月に1000km走っても1000円で済む」(東京電力販売営業本部生活エネルギーデザインセンターの幸加木英晃課長)。プラグイン・ハイブリッド車の実用化で、ハイブリッド車は正真正銘の第2世代に突入する。
では、なぜプラグイン・ハイブリッド車が電気自動車の助っ人になるのだろうか。最大の理由は、二次電池の開発を加速させるからだ。
現状の二次電池を搭載した電気自動車では、1回の充電でガソリン車並みの数百kmの連続走行は不可能。「数百km走行するには、二次電池の性能を現状の7倍に高め、価格を40分の1に下げなければならない」(経済産業省自動車課の伊藤慎介課長補佐)。しかし、本格的な電気自動車はこうした高性能な二次電池があって初めて成立する。つまり、最初のハードルが途方もなく高いのだ。
ところがプラグイン・ハイブリッド車は電気自動車としての走行距離が数十kmで十分。電気が無くなってもエンジンで走れるからだ。そこから段階的に二次電池の性能を高め、走行距離を延ばしていけばよい。プラグイン・ハイブリッド車での収益を、二次電池の研究開発投資に充てられる。この好循環を確立できれば、二次電池の開発が加速して抜本的な技術革新の可能性も高まる。
実は、こうした好循環はハイブリッド車で一部実現している。ハイブリッド車の量産で二次電池の性能が底上げされ、軽自動車に多い“チョイ乗り”用途なら電気自動車でも十分通用するレベルになった。つまり、プラグイン・ハイブリッド車と軽自動車の代替という橋渡し役を介して、本格的な電気自動車を実用化するというシナリオが現実味を帯びてきたのだ。
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