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蚊のコントロールは常識

温暖化によって高まる感染症リスクにどう対応したらいいのか。リスクが高まる病気のほとんどは蚊が媒介しており、本格的なモスキートコントロールが重要だと専門家は指摘する。

「日本でも、戦後十数年間は害虫防除が徹底的に行われ、感染症を画期的に減らすことに成功した。しかし、61年にマラリアが日本から撲滅されて以来、モスキートコントロールが忘れ去られた。今やその重要性は世界の常識になっている」と小林部長は話す。

モスキートコントロールの必要性を改めて世界に示したのは、米国の西ナイル熱だった。2002年にイリノイ州クック郡では634人の西ナイルウイルスおよび脳炎患者が発生しているが、その発生率には地域ごとに大きな差があった。原因を調べると、発生の少なかった地域では蚊の発生源となる排水路の雨水マスなどにボウフラ防除剤をきちんと投与していた。一方、発生の多かった地域では対策をせず、人口当たりの患者発生率には10倍以上の差があった。

●米イリノイ州クック郡のモスキートコントロール対策評価

米イリノイ州クック郡のモスキートコントロール対策評価

薬剤で雨水マスのボウフラ駆除を徹底したDP地域では、西ナイル熱の患者数が少なかった

モスキートコントロールの効果を上げるためには、科学的な蚊の分布調査が不可欠だ。流行を招くかどうかは、人の数と媒介蚊の分布密度が密接にかかわっている。調査がしっかり実行されれば、蚊の密度をどの程度に抑えれば流行を阻止できるか、ワクチン接種の義務化は必要かなど科学的な対策が打てる。

横浜市の自治会など住民活動の一環として本格的なモスキートコントロールを行っている地域はあるものの、その数は少ない。今後は国や自治体による明確な戦略作りが不可欠になってくる。

●感染症の温暖化適応策

感染症の温暖化適応策


日経エコロジー(2008年11月号)
日経エコロジー(2008年11月号)より

 上記の記事「どうなる どうする温暖化 感染症」は、『日経エコロジー』2008年11月号に掲載されたリポートです。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年11月号掲載時の内容となっております。
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