
屋久島ではこれまでNPOが活発にエコツアーを推し進めてきた。最近、自主的な推進協
議会が活動を始めている
写真/屋久島野外活動総合センター
特に力を入れるのが、「ニューツーリズム」。自然環境の保全に配慮しつつ自然と触れ合うエコツアーや、農村で農業・林業を体験するグリーンツーリズム、温泉観光などのヘルスツーリズムなどが含まれる。
ただし、エコツアーがうまく促進されるかは疑問だ。これまでエコツアーは里山、川、海を舞台に各地域で自主的に実施されてきた。多様な自然を楽しむにはガイドが欠かせないが、現状は地域のボランティアやNPO(非営利組織)に頼ってきた。
今年4月には「エコツーリズム推進法」が施行された。エコツアーの事業者や地域住民、NPO、専門家で「推進協議会」と、エコツアーの実施方法や自然観光資源の保護措置を決める「全体構想」を作り、それを国が認定すれば広報活動や許認可の優遇などを支援するもの。認定を受けた市町村は、守るべき特定自然観光資源を自ら指定したり、利用者の数を制限できる。
ただし、今のところ申請は1件もなく、エコツアーガイドを育てる支援の仕組みなどは整備されていない。観光庁も具体的な支援制度などを打ち出す気配はない。「遅まきながら国が音頭を取って観光に乗り出したのは歓迎できるが、地域支援制度をもっと多角的に作らなければ観光は推進されない」と、地域観光アドバイザーの佐藤孝俊氏は辛口だ。
2009年度の国の観光関連予算(概算要求)は2697億円だが、各省庁にバラバラで計上され、観光庁が一括して管理するわけでもない。「専門の観光コンサルタントでもわかりにくい。例えば農林水産省の支援予算はホームページに公開されるが、見つけにくく2週間で閉じられる。地域の人や観光アドバイザーは申請できる状況でない」と佐藤氏は指摘する。こうした整備に手をつけなければ、観光庁は見掛け倒しの看板に終わってしまうだろう。

上記の記事「第37回 国土交通省内に観光庁が発足 エコツアー推進には力不足」は、『日経エコロジー』2008年11月号に掲載されたリポートです。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年11月号掲載時の内容となっております。
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