被害の実態把握が急務
気候変動に適応するためには国や自治体による施策だけでなく、生産農家の地道な対策も欠かせない。
ミカン農家は保存庫に冷房機器を設置したり、暖かくて木が育ちすぎないよう、こまめにせん定するなどの手入れを増やしている。
着色不良の目立つ赤系ブドウでは、木の幹の皮を一部剥ぐ、「環状剥皮(かんじょうはくひ)」という方法を採ることもある。光合成で作られた糖を根に送る師管を遮断し、糖を果実に送って着色を促進する対策だ。ただ、この方法は根にダメージを与えかねないためにノウハウを要する。
中長期的な対策としては温暖化に強い品種の開発が進んでいる。例えばミカンでは、 「寿太郎」という小ぶりな品種が注目されている。この品種は20年前に発見されたが、生産性が低いためあまり広まらなかった。しかし、浮皮症にならず貯蔵性も高いことで評価が高まってきた。
果実の温暖化影響のデータは定性的なものが多く、定量的なものは少ない。「風評被害を恐れ、異常を発見した段階で摘果する農家が多く、データ収集は容易でない」と農研機構の杉浦研究員は話す。
果実の価格は、見た目と評判に大きく左右される。その厳しい基準が温暖化の影響の実態を見えなくし、適応策を遅れさせることのないよう、生産者だけでなく消費者も意識を変えなければならない。

●果樹の主な温暖化適応策

上記の記事「どうなる どうする温暖化 果樹」は、『日経エコロジー』2008年10月号に掲載されたリポートです。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年10月号掲載時の内容となっております。
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