都民のクレジットを買い取る
東京都の太陽光利用設備の助成制度の仕組みを具体的に見ていこう。まず都は、補助の原資となる90億円を東京都環境整備公社に拠出、基金にする。公社は、10年分のクレジットの譲渡を条件に、設備を導入した都民に補助金を交付する。
太陽電池の場合の補助額は、統計データに基づいて、10年間の発電総量から電力会社に売電した総量を差し引いた、自家消費分の電力量で決まる。「導入意欲を高めるために、クレジットの単価は、現在のグリーン電力証書の市場取引価格よりも高めに設定する」(小原課長)
補助金は推定発電量で交付するが、グリーン電力証書の発行は実際の発電量でなければならない。そこで、補助を受けた都民は、年に1回、実際の総発電量の検針を受けるとともに、電力会社への売電総量を公社に報告する。推定発電量よりも実際の発電量が少ない場合は、都が補填する。公社は、報告された発電量に基づいて算出したクレジット量についてグリーンエネルギー認証センターの認証を受ける。グリーンエネルギー認証センターとは、市場で取引されるグリーン証書の認証を実施する第三者認証機関である。
認証を受けたら、公社はグリーン電力証書を発行。排出量取引の参加企業が、自社で削減してもCO2排出量がキャップを超えてしまう際に購入できるようにする。企業が支払う証書の購入代金は公社の基金に組み入れられ、再び都民向けの補助金に充てられる。都民のクレジットをグリーン証書にして企業に売却することで資金を確保し、太陽光設備を継続して助成できるようにするわけだ。

●太陽光発電の自家消費クレジットの仕組み
東京都は10年分の環境価値(クレジット)の譲渡を条件に、住宅に設置する太陽電池などの設備に補助金を交付する。東京都は、このクレジットをグリーン電力証書にし、排出量取引に参加する企業などに販売することで、補助金に充てる資金を賄う
太陽光発電の自家消費分をグリーン電力証書にする動きは、NPO法人・太陽光発電所ネットワークが実施している。佐賀県や愛知県でも、自家消費分から生まれるグリーン電力証書を県が買い取った実績があり、証書化の仕組みは、ほぼ確立されている。だが、太陽熱利用設備から生まれるグリーン熱証書は、今夏の北海道洞爺湖サミットで利用した雪氷冷房しか前例がない。住宅からのクレジットをグリーン熱証書として取引するに当たっては課題も残る。
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