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第35回 ユニリーバの認証制度戦略 自社ガイドラインの普及を狙う

2008年9月30日

藤田 香(日経エコロジー)


英蘭系ユニリーバは漁業向けのMSCなど複数の認証制度を立ち上げてきた。その背景には自社のガイドラインをサプライヤーに普及させることで持続可能な原料調達を可能にし、事業リスクを減らす戦略がある。

紅茶の「リプトン」、台所用洗剤の「ジフ」、シャンプーの「ラックス」など日本でもおなじみの商品を製造・販売する世界最大級の消費財メーカー、ユニリーバ。10億ユーロ(約1600億円)を超える12のメガブランドを抱え、売り上げ6兆5000億円、営業利益8500億円(2007年12月期)を誇る同社は、生物多様性に配慮した認証制度をいくつも立ち上げたことで有名だ。

●ユニリーバが設立にかかわった認証制度

今年初めにはRA(レインフォレスト・アライアンス)認証の紅茶「PGtips 」を英国で発売した。RAは熱帯雨林で生産されるコーヒーやバナナなどの農産物を対象に、生物多様性保全などの基準を設けた認証制度だ。ユニリーバは認証主体のRAに掛け合い、ケニアにある自社の紅茶農園の監査を依頼し、自社ガイドラインと組み合わせてRA紅茶版のガイドライン作りに携わった。

ユニリーバとWWF(世界自然保護基金)が1996年に設立したMSC(海洋管理協議会)が進める認証は、持続可能な漁業の推進を目指すものだ。海の生物多様性を保全するこのMSC認証の水産物は現在、イオンや西友のほか、英国のテスコや米国のウォルマートなど世界の小売り大手が販売している。今年9月は日本でも、京都府機船底曳網漁業連合会がズワイガニとアカガレイ漁でMSC認証を取得する見込みだ。

ユニリーバが認証制度に積極的にかかわる背景には、同社製品の原材料の3分の2が農業に依存していることに起因する。農業は生物多様性を破壊する問題をはらむ。例えば、マーガリンや洗剤の原料になるパーム油は、大規模パーム農園が熱帯雨林を破壊し、オランウータンなどの生息地を奪う問題が指摘されてきた。生態系を破壊する原料調達は不買運動につながりかねないリスクを伴う。

そこで同社は95年に、「持続可能な農業プログラム」を開始した。パーム油、紅茶、トマト、エンドウ豆、ホウレンソウを主要農産物と定め、「持続可能な農業のためのガイドライン」を作った。ガイドラインの基準には、生物多様性保全のほか、土壌環境やエネルギー、水資源、地域経済など12の指標を定めている。

こうした独自に作ったガイドラインを1社で適用するだけでなく、WWFなど権威のある環境団体を巻き込んで認証制度のガイドラインとして確立すれば、「サプライヤーに普 及することができ、継続的な原料調達が可能になる。認証マークの付いた商品は差別化にもなる」と、ユニリーバ・ジャパンの福良運氏は説明する。

リスクの低減で持続可能な商品展開が可能になり、長期的な事業拡大につながる。認証取得やロゴマーク使用料は直接ユニリーバの利益にならないが、こうした認証戦略を日本企業も見習う必要があるだろう。

左は、RA認証の紅茶。RAとユニリーバのガイドラインを組み合わせてRA紅茶版のガイドラインを作った。右は、海のエコラベルのMSC認証を取得したイクラ


日経エコロジー(2008年10月号)
日経エコロジー(2008年10月号)より

 上記の記事「第35回 ユニリーバの認証制度戦略 自社ガイドラインの普及を狙う」は、『日経エコロジー』2008年10月号に掲載されたリポートです。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年10月号掲載時の内容となっております。
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