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第30回 生態系に配慮した農業を支援 環境価値をコメの価格に上乗せ

2008年7月25日

文/山根小雪(日経エコロジー)


JA全農が中心になって、生物多様性に配慮した生産者のコメに、環境価値を上乗せして流通する仕組みが今秋にも始まる。生産者の認証には、田んぼの生き物調査を活用し、効率優先の近代農業からの脱却を目指す。


全国農業協同組合連合会(JA全農)と生活協同組合などの流通各社は5月22日、NPO(非営利団体)生物多様性農業支援センターを設立した。設立メンバーには、パルシステム生活協同組合連合会や生活クラブ生協、大地(千葉市)やアレフ(札幌市)らが名を連ねる。

NPO設立の狙いは、消費者の環境価値への支払いを通じて、生物多様性に配慮する農家を支援することにある。生物多様性に配慮した農家のコメには、商品価格と環境価値の金額を分けて表示する。今のところ環境価値分は米価の数%になりそうだ。例えば1500円なら約100円になる。

生産者の活動に賛同する消費者は環境価値分を上乗せして支払い、上乗せ分の金額は生産者に渡る。賛同しない消費者は、商品代金だけを支払えばよい。田んぼから遠く離れた都会の消費者が、田んぼの生物多様性を高める活動を支援できるようになる。

農家の認証方法や環境価値の流通方法などは、JA全農が社会貢献活動として1999年から展開してきた「田んぼの生き物調査プロジェクト」で検討を重ねてきた。

認証には、田んぼの生き物調査を活用する。入水から代掻(しろかき)、田植え、 中干し、除草、収穫といった一連の生産過程で、田んぼで確認した指標生物の種類を記録する。指標生物は地域によって異なるが、全国で150種、地域ごとに100種を選定した。確認できた指標生物の種類によらず、きちんと記録をした農家には認証を与える。既に全国で100を超える産地が生き物調査を実施している。

生物多様性農業支援センターの原耕造代表は、「生き物調査をすることで、害虫の発生時期を正確に把握でき、農薬量を減らせる。徐々に生物多様性に富んだ田んぼへと変わっていく」と狙いを明かす。生物多様性に富んだ田んぼでは、雑草がほとんどはえないといった効果も確認されている。イトミミズは土を耕し雑草を抑え、カエルは害虫を食べる。田んぼの生物多様性が保たれれば、農薬を大量に使わなくてもコメが作れる。

店頭に設置する専用のPOSシステムなど、流通面の準備も整っている。11月からパルシステムなどの共同購入からスタートし、その後は小売りルートにも広げる計画だ。

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