第29回 空調の循環水の流れ滑らかに消費電力量を約5~6割削減[“せっけん”による空調効率化]
文/馬場未希(日経エコロジー)
ビルなどで使う空調の省エネに、せっけんや洗髪に使うリンスなどに使われる界面活性剤が役立つことが明らかになった。札幌市役所の空調で進めた実証研究では、ポンプの動力に使う消費電力が5割程度減った。

札幌市役所の庁舎。地上19階、地下2階の建物のうち、8階よりも上層階向け空調の循環水で効果を実証した
写真/データクラフト
札幌市役所では庁舎の空調システムとして、1カ所で集中的に冷温水を作り、建物内に張り巡らされた配管に温水や冷水を流して各部屋に冷熱を運ぶセントラル方式を採用している。冷熱を運ぶ水は「循環水」と呼ばれ、2005年から産業技術総合研究所などとの実証研究として界面活性剤を含んだ添加剤を混ぜている。
配管内には冬は約60 ℃の温水が、夏は約15℃の冷水が流れている。水の量は32 tに及ぶ。例えば冬の場合、地下の空調室で60℃に温められた循環水は、上層階に向かってポンプで配管の中を押し上げられ、室内の窓際などに設置された「ファンコイルユニット」と呼ぶ装置まで流れていく。ユニットに内蔵されたファンが起こす風が配管に吹きつけられると、循環水の熱を奪った温風が室内に吹き出すという仕組みだ。
札幌市役所では添加剤の投入後、従来と比べて冬の消費電力量が約65%減った。冷房を使う夏も約47%の省エネを達成している。年間を通じて空調を24時間使う工場や、病院やホテルなどの省エネに効果的だ。

●冷温水空調機の仕組み(暖房の場合)
夏場の冷房の時には冷凍機などで水を冷やす。札幌市役所では地域熱供給を活用し、インバーターを設置している
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- [どうなるどうする温暖化]感染症:熱帯病が北上中、戦略的な蚊対策を (2008/12/09)
- 第37回 国土交通省内に観光庁が発足 エコツアー推進には力不足[生物多様性] (2008/11/25)
- [どうなるどうする温暖化]果樹:ミカンやリンゴを襲う日焼けや着色不良 (2008/11/18)
- 第36回 東京都が太陽光設備の大型助成 クレジットを売却し資金を確保[温暖化対策] (2008/11/11)
- 第35回 ユニリーバの認証制度戦略 自社ガイドラインの普及を狙う[生物多様性] (2008/09/30)

