随所に“水を散らす”仕掛けで
山を荒らさない路網を造る
台風や大雨で山が崩れるのは、1カ所に水が集まるため。そこで尾根沿いに拡散させながら水を流し、拡散させるとともに、森林に保水させていくのが大橋式の大きな特徴だ。カーブでは道を2方向に分け、一方は谷川に向かって自然に水を流す。常に“水を逃がす”ことを考えたつくりになっている。
強度を保つためにも様々な工夫がある。切土の高さは1.4m以下を基本としながらも、土質や木の根の張り方など、様々な要素を加味して現地で細やかな調整を加えていく。また、切った木や土は現地で活用できるように、路網を検討する段階から適正な配分を考えている。

参加者に解説する小菅村役場 源流振興課の青柳課長。ここは道の断面が岩なので、基本の1.4m以下よりもかなり高い2.5mになっている。逆に体積土で地質の弱いところは半分の0.7m
道の断面で切られた根は、時間が経過とともに伸びて土を巻き込み、強度を増す。ただしヘアピンカーブや傾斜のきつい部分では、コンクリートによる路面処理と土留め(どどめ)と呼ばれる丸太組みを入れる。

これが「土留め」。少しずつ段差を付けることで水が流れても削れないようにしている。差し込まれている木は1mほどの長さがあり、機械で押し込む。下方の地面に近い部分で機械が使えないときは人の力で入れることもある

特注品という太い釘は長さ約30cm。これだけ固定しておけば、あとは土圧があるので動かない
小菅村に初めて通った大橋式路網の第1号は、全長約363m。正味約1カ月かけ、3人で作業を行った。大橋式の路網造りでは常に現地で最適な方法を選ぶため、開路後まで実際のルートや長さが分からない。青柳課長によれば、一般に普及している四万十方式より費用はやや割高になったという。しかし、小菅村が目指すのはあくまで「力強い山づくり」。
大橋式を提唱する大橋氏は、これまで50年にわたって路網整備を手掛けてきたが、1度も山を荒らしたことはない。崩れた山を直す大変さが分かるからこそ、多少の先行投資は惜しまない考えだ。
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