晴天に恵まれた開会式
記念の歌碑に集う
今、日本では人工林の荒廃が進み、土砂崩れや土壌流出といった問題が発生している。国産材の価格低迷を受けて林業が衰退し、山の手入れが行き届かなくなっているためだ。これに対し、多摩川の上流に位置する小菅村(山梨県北都留郡)では、“持続可能な森林保全”を目指す「多摩川源流 百年の森づくり」の取り組みが始まっている。産官学民の連携によって源流の木を育み、木材を有効活用することで地域経済の活性化を図るプロジェクトだ。
小菅村で育った“源流の木”を、初めて“多摩川流域”に届けた2006年10月――プロジェクトの本格的な始動を記念して、「第1回 多摩源流の森 黎明祭」が開催された。今年、2007年10月21日に行われた第2回は、林業経営に欠かせない作業路網整備の着手を祝うもの。開会式は第1回 黎明祭で建てられた記念の歌碑の下で始まった。

小菅村役場 源流振興課長 青柳 諭 氏
司会を務めた小菅村役場 源流振興課長の青柳諭氏は、まず、第2回黎明祭の意義から話し始めた。
小菅村では、林野率(村の総面積に占める林野面積)が95%にも上り、そのうち50%近くが人工林である。だが、戦後に植栽されたスギやヒノキは林業の衰退に伴い、手入れされていない場所が多い。一見、豊かな森も、中に入れば荒れている。
今回、「百年の森づくり」の一環として始まった作業路網の整備は、切った木材を山から運び出すための重要な工程だ。急峻な山が多い源流域では、木を切っても運び出すのに大変な労力がかかる。木材価格が低迷する現状では、いくら木を育て、間伐などの手入れをしても、搬出費用で赤字になってしまう。行き届いた手入れを続けていくためには、2tトラックでも入って行けるような山を荒らさない環境に配慮した作業路が必要になる。
青柳氏は、この路網整備の“始まり”を祝う黎明祭が好天に恵まれたことを喜び、「水源の森を、私たちの手でしっかり守っていきましょう」と参加者に呼び掛けて開会の言葉とした。

小菅村 教育長 奥秋 利一 氏
最初に挨拶を務めたのは、小菅村の教育長、奥秋利一氏だ。村の現状について人口減少や少子高齢化など、「今、小菅村を取り巻く状況は非常に厳しい」としながらも、東京農業大学や東京電力をはじめとする各種団体の協力によって「多摩川源流 百年の森づくり」が歩み出したことに謝辞を述べた。今後はさらに路網整備に向けて不可欠な、地主への理解を広めていきたいと語った。
続いて、東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科の教授で、多摩川源流自然再生協議会の会長も務める宮林茂幸氏が登壇。小菅村の全体構想を検討する同協議会は、国、県、村、NPO企業など幅広いメンバーで構成。全国のモデルケースとなる循環型地域づくりを目指している。
宮林教授はこの日の前日、産官学民の連携による「多摩川源流 百年の森づくり」についても議論が進んでいることを述べ、小菅村を中心とする取り組みが一歩一歩、着実に実現してきていると語った。

東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科
多摩川源流自然再生協議会 会長
宮林 茂幸 氏
また、これまでの人類の歴史を振り返り、「木を切り過ぎたり、開発し過ぎたりして荒らしたことはありましたが、植えた木を使わないで、あるいは管理せずに荒らしたことはない」と、現在の森林荒廃の異常さを示唆。美しい山々や良い環境を、次の世代、さらに先の世代の子供たちに残していく使命が、自分たちにあるのだと力を込めた。
そのうえで、多くの人の協力によって開催された第2回黎明祭を「新しい環境づくりに向けた第一歩」と位置付け、「今後は東京農業大学のみならず、さらに多くの大学や企業との交流を深めながら、一緒に100年の先の森をつくっていきたい」と締めくくった。
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