明るい森、良い材をつくる
枝打ちの必要性
朝、実習地となる鹿倉山(ししくらやま)に、東京農業大学の学生26人が集まった。5人前後のグループに分かれ、それぞれ“地元講師”と呼ばれる先生が1人付く。小菅村で林業に携わるプロから、森林調査や間伐などの方法を教わるのだ。
小菅村では今後、源流大学の取り組みを中心に森の手入れを進めていく。そこで1番のポイントとなるのだ森林調査だ。今回の実習で調査方法を覚えた学生は、これ以降も森林再生のサポートをできるようになる。

実習内容の説明を受ける学生たち。斜面で足場も悪い作業地では長袖・長ズボン・軍手・ヘルメットの着用が必須。慣れた学生は地下足袋を履いていた

トラックに積まれた実習用の様々な装備。作業に使うヘルメットやのこぎりのほか、カプサイシン入りの熊撃退スプレーや蜂退治の道具、蛇や蜂に襲われたときのためのポイズンリムーバーなどもある。山には危険もたくさんあることを知っておかねばならない
1時間ほどかけて標高約1200mの地点まで登っていくと、住民講師の1人、木下新造さんの所有地に着く。約4万m²(4町歩)のうち約半分がヒノキ、あとはマツがほとんどで、残りが雑木林だ。植林してから10年間は毎年、雑草木を刈る「下刈り」をしていたが、農林業が成り立たなくなってからは会社勤めを始めた。その後、35年ほど放置されたままの林だ。昔は景色が良く、ハイキングコースにもなっていたが、今は手入れが行き届かないために木が込み合い、山すその小菅村さえ見えなくなっている。
実習ではまず、「枝打ち」の作業から始まった。特にヒノキは残枝性が高く、枯れた枝でも根元から伸びたままになっている。

ヒノキは枯れても枝を落とさない

枝打ちの方法を説明する木下新造さん
今回のように枯れ枝を切ることは「化粧枝打ち」という。既に枯れているため「死に節」となって、木材にすると節穴が残る。逆に、生きているうちに枝打ちすると、節は木の成長に伴って樹皮に巻き込まれ節穴はできない。こちらは「生き節」と呼ばれ、枝打ちの手間はかかるが、商品価値は高まる。無節で、元口と末口の太さがそろった高級材を作るには、こうした手入れが欠かせないのだ。
枝打ちや間伐は真っすぐな良い木材を育てるだけではない。風通しが良くなることで虫が付きにくく、病害も防げる。きちんと手入れされた人工林は眺めも良く、保健休養林としての機能も果たす。

それぞれ手の届く範囲の枝を切る。頭上の場合は切りくずが飛んでくるので目に入らないように注意する

枝打ちをするときは、写真左のように必ず根元から切る。出っ張りが小さい方が巻き込みが早く、節の無いきれいな材ができる。写真右のように、枝が残ってしまうと断面から虫が入りやすい。特に太い枝の場合はどうしても断面が大きくなるため、やはり早い段階から手入れを続けることが重要

手入れされず伸び放題の林。中央の木はつるが巻き付いたまま成長したため、ねじれてしまった。早い段階でつるを外せば真っすぐに伸びる
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