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出力2000kWで国内初の商用化 タールを化学原料などに再利用

2007年11月23日

文/馬場 未希(日経エコロジー)


木くずをガス化して燃料に使う出力2000kWの発電所が、山形県で商用運転を始めた。出力規模もさることながら、ガス化や発電の効率も高い。ガス化し切れなかった「タール」も回収して有効利用する。

山形県村山市の周辺は、サクランボをはじめとした果物の一大産地だ。この市内で手に入る果樹などの木質バイオマス(生物資源)を使う「やまがたグリーンパワー(YGP)発電所」が、7月から商用運転を始めた。発電所の経営は日本バイオマス開発(東京都港区)の子会社が手がける。

発電出力は国内最大
可燃性ガスを効率よく生成

YGP発電所では、木質バイオマスを酸素の少ない状態で蒸し焼きにして可燃性のガスに分解し、これを燃料にガスエンジンで発電する。ガス化炉を含む発電システムは、JFEエンジニアリングとJFE環境ソリューションズが納入した。木質バイオマスガス化発電設備としては、国内最大の出力2000kWだ。発電効率は最大30%と、従来のガス化発電の実証設備と比べても高い。

投入するバイオマスは、地元の果樹栽培や林業による伐採や間伐で排出した木材をチップ状に破砕したもの。570m³の貯槽ピットにためておき、クレーンでガス化炉に投入する。

木くずは屋外にためおき、クレーンでガス化炉(左)に投入する。チップは炉の内部で乾燥させる。従来なら投入前にヒーターで乾燥させていた工程が省けるため、省エネにもなる。欧州の導入事例ではチップの含水率42~43%の時、発電効率が約30%に

従来の直接燃焼型の木質バイオマス発電の場合、チップを燃やして蒸気を作り、蒸気タービン発電機を回す。この方式では数十万kWの大型発電所では30%近い発電効率になるが、2000kWクラスでは10~20%の効率しか出ない。

ガス化炉には、高熱の空気と水蒸気を、炉の底から上へと吹き込む「アップドラフト型」を採用した。高さ8mの炉内にたい積したチップは、1000~1300℃になる炉の下部で部分的に燃焼して、高温のCO2や一酸化炭素が発生する。このガスは上昇し、炉内の800~1100℃の層にあるチップを蒸し焼きにし、一酸化炭素と水素に分解する。

ガスは炉内をさらに上昇する。150~800℃の層ではチップに含まれる重質油物質「タール」(「チャー」とも呼ぶ)が熱で揮発される。ガスはタールを含んだままさらに上昇し、炉の上層部のチップを乾燥させながらガスの冷却器に移動する。

生成したガスには、一酸化炭素や水素、メタンなどガスエンジンの燃料になる可燃性の気体が約50%含まれる。ガスの熱量は1Nm³(Nはノルマル。セ氏0℃・1気圧下の1m³)当たり約1820kcal。都市ガスは同1万1000kcalなので、体積当たりの熱量は都市ガスの20%に満たない。

また、投入した木くずの熱量に対する生成ガスの熱量の割合(冷ガス効率)は約74%。つまり、約26%のチップを燃やした熱で、残りの約74%をガスに分解したことになる。

この冷ガス効率は他のタイプのガス化炉に比べて高い。効率よくガス化できるのは、アップドラフト型の特徴でもある。

 炉の上部から下方向にガス化が進む「ダウンドラフト型」や、回転する釜で蒸し焼きにする「キルン型」は生成ガスが約400℃と高温だが、アップドラフト型は約80℃と低い。これは前者2タイプの場合、燃焼する可燃性ガスの割合が多く、その分エネルギーの損失が大きくなる。

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