
設計本部 東京設計部
中山 英彦 氏
他人の緑を利用する
積水ハウスの中山英彦氏は、昨春販売した「コモンガーデン仲町台」と、今春販売の「コモアしおつ」を取り上げ、緑を“つなげる”ことで住環境を快適にしている事例を具体的に紹介した。
仲町台は、神奈川県横浜市港北ニュータウンの平均敷地面積52坪(172平方メートル)ほどの分譲住宅だ。配置と開口部を工夫することで、他人の家の緑を楽しむことができるようにしたという。
中山氏によると、「家の2方向を開口にして、その先に緑を配置することで、自分の家の緑越しに隣の家の緑を見えるようにしました。敷地境界を越えて緑を複層的に重ねることで、豊かな景観になります」と話す。
緑はまた、冷気を蓄えるクールスポットとなり、温熱環境的にも重要な役割を果たす。その冷気を取り込めるように、窓の位置も計算したという。8月上旬、表面温度を測定したところ、一般市街地の道路面が55.8℃を記録したとき、仲町台の中心部は、32.8℃だったという。
緑の価値は分かっているが、管理が面倒だと感じる人は少なくない。そこで、積水ハウスでは、緑の価値を伝えるために入居者を対象にフォローアップセミナーを開催している。
「建売住宅を買われる方は、隣の方がどんな人か知らない場合が少なくありません。このセミナーに参加していただくことで、住民同士のコミュニケーションのきっかけを作っています」と中山氏は語る。

積水ハウス株式会社 設計本部 東京設計部 中山 英彦 氏
一方、「コモアしおつ」は、山梨県上野原の山の上を切り開き、80坪(264平方メートル)の敷地に建てられた分譲住宅だ。
今回分譲したトリコパルクという街区14区画が「ひまわり配棟」によるつながりのデザインになっているという。「仲町台」と同じように、2方向を開口として、隣の庭を借景として楽しめる配置になっている。また、敷地内の空気の通路も確保してあるため、夜間の冷えた空気を家の中に取り込むことができる。
中山氏は写真や図面でその様子を紹介した後、「こうした事例は今、全国で計画が動いています。環境破壊から環境を元に戻す努力をしながら、より良いもの、お客様に満足していただけるものをつくっていきたいです」と話した。
また、「当社(積水ハウス)では、時間がたつにつれて価値が上がる『経年美化』の考え方を取り入れており、その普及にも取り組んでいきます」と述べ、話をまとめた。

積水ハウス株式会社 設計本部 東京設計部 中山 英彦 氏
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