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東京都が目指すCO2排出規制 「総量削減」「排出権」に反発も

2007年9月7日

文/馬場未希(日経エコロジー)


東京都は、一定規模を超えるビル・工場などにCO2の総量削減を義務付ける。排出権取引による達成も認める。5月31日に発表した温暖化対策方針に盛り込んだ。産業界の反発は必至で、実現には課題も残る。

●東京都の温暖化ガス排出量
出所/東京都 気候変動対策方針

東京都は、「2020年までに2000年比で温暖化ガスを25%削減」という都の目標を達成するため、「気候変動対策方針」を発表した。

この中で、都内のビルや工場などを対象とする、CO2の総量削減を盛り込んだ。目標を達成できない企業が、達成できた企業から排出権を買える仕組みも導入する。

制度の詳細は未定だが、2005年度に都が導入した「地球温暖化対策計画書制度」と同様に、約1300カ所の事業所が対象になる見込みだ。

現行の計画書制度は、一定量以上の温暖化ガスを排出するオフィスビルや工場などの事業所に、自主的な削減目標の設定と、削減策をまとめた計画書の提出を義務付けている。CO2の削減義務は、この制度を発展させたものだ。

事業所の削減目標は、「業種にかかわりなく一律の削減目標を定めたい」(東京都)という。削減の割合は、「CO2削減の取り組み度合いが高い」と、都が評価する事業所と同等以上にする。都が評価する事業所とは、現行制度で「AA 」という評価が与えられた事業所だ。AAの事業所は、平均で8.7%削減する目標を定めている。

事業所によっては厳しい目標だが、自主削減に取り組むほか、排出権を買って目標を達成することもできる。

都は今後、制度の内容を固め、「2008年度に関係する条例改正案を都議会に提出することを目指す」(東京都)。「施行は2009年度以降をめどに、急ぎたい」と担当者は話している。

都内の事業所は寝耳に水

東京都は、オフィスなど業務部門のCO2排出量の伸びが著しい

東京都は、オフィスなど業務部門のCO2排出量の伸びが著しい

今回のCO2削減義務が実現すれば、都で排出増の最も著しいビルなどの対策強化につながるが、実現までには克服すべき課題が多い。その1つが、削減義務を拒む産業界の理解をいかに得るかだ。

都は、方針表明の前に事業所との間で説明や意見集約は一切していない。日本経団連は都の方針について、「事前に議論の場を設けた方が透明性が高まっただろう」と話す。

実は都は、2002年にも削減義務付けを打ち出しながら、現行の計画書制度に落ち着いた経緯がある。当時、経団連は「一部地域での義務付けは、工場の域外への移転を引き起こし、結果として日本全体の削減につながらない」などと反発した。

都は7月下旬にも事業所などとの議論を始めるとしているが、制度の円滑な導入と運用には、産業界の一定の理解が不可欠だ。

ほかにも課題はある。例えば削減量の把握だ。“お金”になる排出権を生み出すからには、事業所がどれだけの温暖化ガスを削減したか、厳密な算定が不可欠だ。CDM(クリーン開発メカニズム)やEU(欧州連合)の排出権取引制度(EU ETS)では、第三者機関による削減量の監査を求めている。

現行の計画書制度では、都の算定方法に従って、事業所が計算している。都は、「経済産業省が進める中小企業向けCO2削減事業の監査方法などを検討して、適切な方法を採りたい」と話す。

都の意欲的な対策が日の目を見るかどうか、予断を許さない。

日経エコロジー(2007年8月号)
日経エコロジー(2007年8月号)より

 上記の記事「リポート:東京都が目指すCO2排出規制「総量削減」「排出権」に反発も」の内容については、『日経エコロジー』2007年8月号掲載時の内容となっております。
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