バイオディーゼル燃料が日本で普及するための条件
これだけの施設ともなれば、国内の自治体や民間企業、さらには海外からも見学希望者が訪れるのは当然のことだろう。しかし、導入にあたっては、クリアすべき課題は多い。前編でも述べたとおり、同施設の総建設費は7億5千万円に上る。これほどの金額ともなれば、持続性と実効性を兼ね備えた総合的な事業計画が求められるのは必定だ。
京都市の場合は市民ボランティアによる廃食用油の回収活動をベースに、事業が組み立てられている。京都市環境局循環型社会推進部 循環企画課 担当係長 山本眞人氏は「(住民同士の関係が希薄な)新しい街では京都市のような市民回収の芽が作りにくいようですね」と、他の地域が抱える課題について語ってくれた。
さらに、製造したBDFの運用にも課題は付きまとう。施設建設費や製造コストの削減にはプラントの簡易化が近道だが、製品の品質は劣るのでB20やB5(軽油にBDFを20%ないし5%混ぜたもの)として使用することになる。しかし、軽油を混合すると軽油取引税が加算されるため、製品の価格は軽油やB100よりも割高になってしまう。京都市の場合、B100のコストは1ℓ100円程度になるが、混合すれば1ℓ135円程度になるという。

京都市環境局管理課 燃料化施設係 菅原良実氏は「BDFを軽油の代替燃料とするならば“混ぜても非課税”とするか、“何%以上BDFを混ぜることを義務化”するか、何らかの法整備が必要でしょう。また、燃料の混合が専用の施設でしかできないことも民間の参入を阻む要因となるのでは」と指摘する。
バイオマス燃料の品質基準に関する法整備も必要不可欠だ。京都市の場合は、市独自の規格に基づくBDFを、市の公用車であるごみ収集車や市バスに使用しているので、仮に燃料に起因する車両故障が起きても、市の自己責任ということになる。今後、民間企業も巻き込んで普及を図るのであれば、やはり国がBDFの品質基準を法律として定め、万が一のときの責任の所在を明確にしておかなければならない。

「施設の竣工当初はBDFと軽油の価格差が大きかったですが、京都市はこの施設を環境対策および市民啓発のシンボルとして捉え、そのためのコストとして割り切っているから事業として始められたのだと思います」と、京都市環境局循環型社会推進部 循環企画課 担当係長 山本眞人氏は語る。
また、採算性も大きなテーマだ。B100として使用できるBDFの製造には相応のプラントが必要だが、建設コストは製品の価格に上乗せせざるを得ず、現状の法的枠組では混合燃料でもB100でも軽油の市場価格以上になるのは明らか。「環境のため」という理由で、それを受け入れられる消費者はそう多くないだろう。
このようにBDFの普及には乗り越えるべき課題が少なくないが、カーボンニュートラルに対する期待感は世界的に見ても大きく、EUやアメリカのほか、韓国などでもバイオマス燃料に関係する法整備が進んでいるという。
2002年12月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」。本年度は「地域バイオマス利活用交付金(旧:バイオマスの環づくり交付金)」や「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」が予定されているが、普及への道筋作りはまだまだこれからといったところだ。
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