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海藻によるCO2固定とバイオマス供給
地球温暖化の解決を海から考える

牡蠣の森を慕う会 代表 畠山重篤氏

牡蠣の森を慕う会
代表 畠山重篤氏

京都議定書で定められた日本の6%のCO2排出量削減のうち、3.8%を森林によるCO2固定量増加でまかなう計画である。そのために、各地で間伐による森林の再生や植林活動が行われている。CO2削減に森が果たす役割が大きいことは認識されてきたが、一方で海が果たす役割は今まで考慮されてこなかった。

昆布やアオサなどの海藻も光合成をしているので、CO2を固定する効果がある。「北海道の半分の面積の昆布を養殖できれば、日本が年間に排出するCO2を全部吸収できるという試算が10年前に出されている。周囲を海に囲まれた日本だから、沿岸部に海藻を育つ環境を作ることで、CO2の吸収量を削減できるはず」と畠山氏は説く。

さらに昆布やアオサなどの海藻は、エネルギー源としても使える。バイオエタノールの材料にもなるし、そのまま燃やすことも可能だ。

いま、植物性バイオマスが注目されることにより、南米ではトウモロコシといった資源作物の耕作を目的とした熱帯雨林の破壊が問題となっている。「でも昆布畑なら、森林を破壊しなくても海藻を作れる」と畠山氏は語る。

沿岸に昆布を増やすために重要な役割を果たすのが、前編で紹介した鉄である。植物性プランクトンや海藻が水中で光合成をするためには、イオンになった鉄を体内に取り込まなくてはいけない。沿岸の海に鉄を取り戻すために、様々な実験が行われている。

山から見た舞根湾。リアス式海岸の入り組んだ湾の水面にカキ養殖イカダが浮かぶ

山から見た舞根湾。リアス式海岸の入り組んだ湾の水面にカキ養殖イカダが浮かぶ

例えば新日鉄が北海道・増毛海岸で実施したのは、水中に鉄鋼スラグ(鉄くず)と腐葉土を埋めておく実験だ。磯焼け状態(海底の海藻がなくなり、海底表面を石灰藻類が被う現象)だった海に、1年後には昆布が見事に戻ってきた。

鉄を植物に吸収されやすいフルボ酸鉄に変える腐葉土の働きが、その理由である。この結果が発表されると、多くの漁協で実験が始まった。

同じことが、使用後のスチール缶を固めた鉄くずを焼いたものを海に沈めてもできる。スチール缶を熱すると、中に入っていたジュースやコーヒーに含まれている炭素と鉄が反応して、酸化還元反応が起こる。これを海の中に入れておくと、海の中でイオン化傾向の差によって金属イオンが溶け出す「電蝕」が発生し、鉄イオンが水に溶け出していく。

昔から沈没船(鉄船)の周りは良い漁礁になるということが、漁師の間では経験的に知られていた。

「『沈没船には魚が隠れるところがたくさんあるから』と言う人がいますが、それだけではない。沈没船の材料になっている金属が電蝕されて鉄が溶け出すから、周りに海藻がいっぱいはえて植物性プランクトンが育つ。そこに魚が集まるんです」(畠山氏)。

海藻のジャングルは良い漁場になる。沿岸に良い漁場ができれば、漁師が海に戻るきっかけになる。

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