イマドキの女子学生も感動する
安心院での“心の交流”体験
グリーンツーリズムの一環として修学旅行の受け入れを積極的に進めている安心院では、参加した生徒たちが実際に農泊して、感動して泣くこともよくある。後日、その感動を綴った手紙やお礼の手紙が来ることも珍しくない。終了後のアンケートでは9割以上が「感動した」と答えたという学校もあった。
「今の子供たちは、『他人を信じるな』と教育されているようなもんでしょう。学校も競争社会でギスギスしている。私たちがやっているのは、その打破なんですよ。見ず知らずの他人の家に泊まって、話をする……それだけで感動する子もいます。今はそういう、ごく当たり前の心の交流さえなくなっているんでしょう」(宮田氏)。
中山さんの家ではこんなケースもあった。あるとき、修学旅行で受け入れた生徒の中に、金髪でミニスカート、教師に向かって野次を飛ばすような女子中学生がいた。だが、叱るべきときにきちんと叱り、外見だけで分け隔てすることなく等しく接するミヤ子さんの態度が、その女子中学生の心を次第に開いていく。そして最後には、彼女は「帰りたくない」と泣くまでに……。
「今の大人は、気分に任せて“怒る”ばかりで、“叱る”べきときに“叱る”ことを知らん。怒ると叱るは違う」と文弘さんは言う。核家族化が進み、子供たちは祖父母や伯父・伯母、叔父・叔母と接する機会がどんどん減っている今、失われてしまった何かが安心院にはあるようだ。

「舟板昔ばなしの家」では、今では珍しい五右衛門風呂に入れる。入るときは木の踏み板を上手に足で押さないと、やけどするので注意!

家の前にある井戸。昔はこうした井戸から生活用の水を汲み上げるのは普通だったが、水道の普及や子供が落ちる危険性があるなどの要因によって、このような開放型の井戸はきわめて珍しい存在となった。井戸が初めてだったスタッフは、汲んだ水を入れたまま釣瓶(つるべ)を井戸に戻してしまい、「井戸の神様がびっくりするよ!」と文弘さんに叱られてしまった。叱られながらも、安心院にはまだ、すべてのものに“神様”が宿っているのだ……と実感する。もちろん、衛生面から見ても、1度外に出した水を戻してはいけないのは当然のこと

修学旅行生に大人気のうどん製麺器。生地をこねるのは人手で行う。こねたら薄く伸ばしてローラー部分にセットする。ハンドルを回すだけで、うどんが出来上がる様子はとても面白い

農泊を始めてから、「食事は一緒でも、洗面所とトイレは別にしてほしい」という宿泊客の要望を受けて、新たに2階に設置したトイレと洗面台。廊下の窓(写真左)を開けると、屋根の上に引いた水道が現れる(写真右)
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