囲炉裏、へっつい、七輪……
ここはまさに「昔ばなし」の家
「舟板 昔ばなしの家」を営むのは、中山文弘さん・ミヤ子さん夫妻。安心院町グリーンツーリズム研究会が発足した当時、最初に「農泊」(農村民泊、一般農家が自宅で営む宿泊施設)を始めた7軒の中の1つだ(詳細はこちら)。
同研究会の会長を務める宮田静一氏から、「安心院町のイベントに来たお客さまを泊められないか」と、打診を受けたのは1996年のことだという。離れの、いわゆる隠居部屋が空いていたことや、一人娘の結婚が重なったのをきっかけに、「やってみよう」と決めた。
「昔ばなしの家」という名には、安心院にグリーンツーリズムで訪れて、ここに農泊してもらえる大人たちにとっては昔話に花を咲かせる場であり、子供たちにとっては昔話の世界のような家──という意味を込めた。
中山文弘さん・ミヤ子さん夫妻が取り組み始めてから早くも10年以上、今や年間800人が宿泊する人気の農泊となった。宿泊客は、やはり九州在住の人が多いが、中にはインターネットで知って海外からやって来る人もいる。安心院の自宅にいながらインターナショナルな交流ができたり、たくさんの情報が集まって来るのも、「農泊の魅力」とミヤ子さんはうれしそうに語る。

笑顔で迎えてくれた中山さん夫妻。宮田氏が「農泊のプロ」と評するミヤ子さん(右)に、華道家元など多才な特技を持つ文弘さん(左)。安心院のグリーンツーリズムの要は、中山さん夫妻と交わしたような素朴な会話にあることが、実際に体験すると分かる

築110年という離れの囲炉裏には、ミヤ子さん手作りの郷土料理が大量に並ぶ。安心院の名物スッポン鍋と生き血、いけすから出したばかりのドジョウの天ぷら、グルメ雑誌にも載った有名な鶏を炊き込んだにぎり飯、蒸かしたむかご……どれも絶品だ。野菜も畑で取れたばかりで新鮮。味は……というと、いうまでもない。もちろんお酒も九州ならではの焼酎をはじめ豊富に用意され、ここでしか飲めない逸品も

朝食はへっつい(かまど)で炊いた白いご飯に七輪で焼いたサンマ。昔の“当たり前”が、今は贅沢?

宿泊客が泊まるのは、60年前に増築した離れの2階。昔ながらのテレビや家具が置かれたの室内(写真左)は初めてなのにどこか懐かしく、テラスは1日中でも座っていたい居心地の良さだ(写真右)
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