普通の民家での宿泊を可能に
規制緩和の原動力になった安心院
独自のスタイルを築きながら少しずつ歩み出した安心院町だが、全国的に有名になったのには理由がある。
それまで民泊施設の営業には、大きな障壁があった。法律(基準)の問題である。旅館業法に基づく営業許可を得るためには、例えば食品衛生法や建築基準法、消防法など、いくつもの基準をクリアしなければならない。
例えば、旅館業法では「宿泊客専用の調理場が必要」とか、「延べ床面積が33m²以上」といった条件がある。これらに適合しようとすると、改修費用の負担は大きく、一般の農家が気軽にできることではない。そこで安心院町では会員制を導入し、許可の必要な「不特定多数向け」の施設ではない、としてきた。
この取り組みを受け、2002年、大分県は独自に規制緩和の方針を打ち出した。営業許可と、認可に際する法の運用は知事の権限である。内容は、「宿泊客が農家と一緒に調理・飲食する場合(体験型)、客専用の調理場は必要ない」「隣接の廊下を含めて33m²あればよい」など、グリーンツーリズムの発展を後押しするものだ。全国初の画期的な緩和として、新聞などで大きく取り上げられた。
「規制緩和まで、6年掛かりました。それまで(関係者に対して)何回も手紙も書きましたし、知事にも直談判しました。それが、お客さまと一緒に調理するなら『食品衛生法の許可不要』……。こうなったとき、本当に感動しましたね。うれしいというより、ただ泣けました。あと10年は掛かると思っていたんですから」(宮田氏)。
こうして「安心院方式」は「大分方式」へ。そして翌2003年には、全国基準となる。国の旅館業法施行規則にも、ほぼ同様の内容が盛り込まれたのだ。さらに客室の延べ床面積にこだわらない特例措置も導入。農林漁業体験の民泊施設を「簡易宿所営業施設」として認めた。

緑豊かな安心院町の全景。名産品であるぶどうのハウスが並ぶ
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