日本でバイオトイレが
普及するための条件
バイオトイレは様々な利用目的で使用できるように、日々進化を続けている。しかし、一般家庭やオフィスなどでバイオトイレがごく当たり前に使用できるようになるのは、もう少し先の話になりそうだ。
というのも、現在の建築基準法では、下水道処理区域内において水洗式トイレ以外のトイレの設置を事実上認めていない。下水道処理区域内にある汲み取り式トイレは、3年以内に水洗式に置き換えることが規定されている。
バイオトイレは排泄物処理の機構を備えた自己完結型の装置である。上下水道を必要とする水洗式とも、排泄物回収の手間がかかる汲み取り式とも違う仕組みなのだが、現状の法的枠組では「水を使わないという理由で、汲み取り式に分類される」(橘井氏)という。
見逃せないのは、橘井氏はすべての水洗トイレをバイオトイレに置き換えようと主張しているわけではないことだ。
例えば、災害時の避難場所に指定されている地点や、水不足の問題が起こりやすい地域で水洗トイレと併設したり、冬期に水が凍るような寒冷地の公園や屋外駐車場などに設置したり、既存のトイレと共存する方向で広めていきたいと考えている。
同社では下水道処理区域内でもバイオトイレの設置が認められるように、規制緩和を求めて行政に働きかけているが、なかなか色よい回答は得られていない。第2次と第3次の構造改革特区提案は旭川市と共同で、第9次から第11次は正和電工が独自に申請を行ったが、いずれも「D回答」だった。「D回答」──つまり現状の法的な枠組の中で対応可能という見解である。
「対応可能といっても、汲み取り式トイレに分類されている以上、下水道処理区域内には設置できませんからね(苦笑)。バイオトイレの機構は汲み取り式とも、水洗式とも違います。なんとか“第3のトイレ”として認めてもらえるように、今後も頑張っていきますよ」と、橘井氏は強い決意を表した。

正和電工株式会社
代表取締役 橘井 敏弘 氏
バイオトイレの最大の特徴は、水を使わずに排泄物を処理できることにある。浄化した水を大量に消費することもなければ、汚水による環境汚染の心配もない。どこの製材所でも生じるおがくずを利用できるので、リサイクルにもつながる。使用済みのおがくずが栄養満点の肥料として活用できることもポイントだ。
「『旭川市はバイオトイレを使っているから水がキレイ』というのは、観光地として素晴らしいピーアールポイントになるでしょう? そして、観光に来てくださった方々がバイオトイレを使えば、豊かな肥料が出来て、農作物がもっとおいしくなる。環境にもいいし、経済や産業という点でも、バイオトイレは魅力ある製品なんです」(橘井氏)。
水洗トイレの普及は上下水道の普及と同義であり、いわば経済発展のバロメーターだった。しかし、世界的に環境問題がクローズアップされるなかで、水の有効活用は非常に大きな課題になっている。橘井氏は「水を使わないバイオトイレの普及は、21世紀の文明のバロメーターですよ」と締めくくった。

正和電工本社敷地内にはバイオトイレがずらりと並ぶ。バイオトイレは経済産業省の「第2回ものづくり日本大賞優秀賞」や、社団法人日本産業機械工業会「第33回優秀環境装置表彰会長賞」などの受賞歴があり、各方面で高く評価されている。
(前編はこちらからどうぞ)
▼問い合わせ:正和電工 株式会社
北海道旭川市工業団地1条1丁目3番2号
http://www.seiwa-denko.co.jp/
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