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社長自らが楽しみながら
製品の改良を推進

現在、正和電工ではバイオトイレに関して、特許10本、意匠22本、商標2本を登録している。これだけの知的財産を所有する背景には、たゆまぬ研究開発があった。

例えば、先ほど触れたスクリューの改良が挙げられる。旧式のスクリューは幅5cmほどの金属板がらせん状になった、巨大なバネのような形状をしていたが、何度も回転させるうちに、一方の壁面におがくずが押し付けられてしまう。そこで、金属板を半回転ほどのところで切り離し、非連続の形状にすることで、おがくずの圧力の“逃げ道”を作った。

スクリューの最も壁面に近い部分には小さな歯を取り付け、壁に押し付けられて固まったおがくずをかき崩すようにした。スクリューの回転パターンも変えている。ある方向に回転させた後、逆方向に回転させて、一方向におがくずが偏ることを防ぐようにした。

いくつもの工夫を積み重ねた結果、旧型のスクリューで起きていた破損の問題は解消されたという。

バイオトイレのタンク内部。スクリューは用を足した後にスイッチを押して回転させるほか、2時間に1度、自動的に回転する仕組み。

バイオトイレのタンク内部。スクリューは用を足した後にスイッチを押して回転させるほか、2時間に1度、自動的に回転する仕組み。これによって効率的に排泄物の水分を蒸発させ、固形物の分解を促進することができる。

タンクの底部にヒーターを設置したのも、正和電工のアイデアである。タンクの内部はヒーターによって約55℃に温められる。この温度は、大腸菌が50℃前後で死滅することから設定されたものだ。あまりに高温だと、排泄物そのものが熱を帯びて悪臭を放ったり、おがくずの炭化や発火を招いたりする危険性も出てくるという。

ヒーターには水分の蒸発効率を高める効果があるが、必ずしも設置しなくともよい。前編で紹介した無電源タイプにはヒーターがない。その場合は水分の蒸発を自然にまかせることになるので、やや大きめのタンクを選び、おがくずが湿り過ぎないように注意する。また、おがくずの交換時には大腸菌が残っていることを前提に、衛生面に十分配慮する必要がある。

橘井氏らは試行錯誤しながら、様々な改良を進めてきた。現在は、タンクの排気を効率よく外に逃がすために取り付けられたパイプのファンを改良中だ。

「現在のファンは常時同じペースで動いていますが、スクリューの回転と連動させようと思っています。スクリューが回転している間はファンも100%動かして排気を促し、停止したらファンを50%程度の運転にするんです。ファンの運転量を下げても排気は問題ないか、電力消費量はどの程度抑えられるのか、当社のトイレを使って試しているんですよ」。そう笑顔で語る橘井氏は、実験を楽しむ少年のようにまっすぐな目をしていた。

正和電工の敷地内に置かれた屋外用バイオトイレ。

正和電工の敷地内に置かれた屋外用バイオトイレ。配電盤のところに電力消費量を測定する機器を設置し、ファンの運転状況による変化を測定している。

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