21世紀のトイレに水はいらない!(後編)自然界に生きる微生物の力を借りた新発想のバイオトイレ誕生秘話 正和電工株式会社 代表取締役 橘井 敏弘 氏
●トイレが汲み取り式から水洗式に変わったとき、排泄物が一瞬にして目の前から消え去る水洗トイレがとても文化的で、素晴らしいものに映った。しかし、水洗トイレは9割以上を水分が占める排泄物を、飲めるほど安全な大量の水で薄めて流す仕組みだ。1人が1日に60ℓ以上の水をトイレのために消費し、汚水の処理には多額の費用が投じられている。
●正和(せいわ)電工が手掛けるバイオトイレは、既存のトイレとは全く違うメカニズムを持つ。排泄物の水分を効率的に除去し、残った固形物はバイオの力で分解してしまう。水を使わずに、衛生的に排泄物を処理できる仕組みなのだ。
●同社の橘井敏弘(きつい・としひろ)社長がバイオトイレの存在を知ったのは15年前のこと。きっかけは体調不良で食事を満足に摂取できなくなり、食物残さの行方が気になったことだった。橘井氏は「最初は生ごみだったんだけど、排泄物の処理の方に関心が広がってね」と笑顔で振り返るが、その体験は人生観を変えるほどの出来事だったようだ。
●当時の正和電工は電気製品の卸を主力事業としていたが、バイオトイレとめぐり合ったことで、同社は環境事業へと大きく舵を取るようになった。橘井氏の闘病で一時低迷した会社の業績は、これによって見事回復している。しかし、バイオトイレの本格的な普及はこれからだ。後編では橘井氏とバイオトイレとの出合いから、今後の課題までをリポートする。
(前編はこちらからどうぞ)
取材/土屋 泰一、林 愛子 構成・文/林 愛子 写真/佐藤 久

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