飲めるほどキレイな水で
排泄物を薄めて流す不合理
我々が普段使っている水洗トイレでは、どのくらいの水を消費しているのか、読者の皆さんはご存知だろうか。
トイレの機種にもよるが、1回ペダルを倒すと、平均して約13ℓの水が消費されるという。4人家族の場合、1人が1日5回トイレを使うと、1日の使用回数は20回となり、毎日260ℓの水を使うことになる。これは一般的な家庭用の浴槽1杯分とほぼ同じ水量だ。
しかも、1回の用足しで2度、3度水を流す人は少なくない。また、1日にトイレを使用する回数は、人によっては8、9回になる。こうした個人差を考慮すると、4人家族が1日にトイレで消費する水量は浴槽2杯分、3杯分となる可能性がある。
災害で水道網に支障をきたし、飲み水の確保さえもままならない状況下で、トイレのために、これだけの水量を確保するのは不可能である。
しかも、排泄物の9割以上は水分だ。「水洗トイレはほんの数%の固形物を、大量の水で薄めて流しているだけなんですよ。地球上で飲用に使える水はわずか0.01%しかないというのに、もったいない話でしょう」(橘井氏)。
戦後、日本は上下水道の整備を一気に推し進めた。そのおかげで、我々は蛇口をひねれば、安心して飲める水がいつでもたっぷりと出てくる環境を手に入れた。しかも、諸外国に比べれば、その対価は驚くほど安い。「日本は水と安全がタダ」と長年言われ続けてきたゆえんだ。
しかし、市民が月々に支払う水道代は数千円程度だとしても、そのインフラの維持管理には巨費が投じられている。
「旭川市は人口36万人の中規模都市ですが、平成19年度の上下水道の予算は270億円です。水道管は普通に使っていても、30年から50年に1度は劣化した管を交換しなければならないので、総予算の実に6割が管の交換に当てられているそうです」。

一般家庭用のバイオトイレは1台68万円から。水洗トイレの便器は数10万円程度だが、水洗トイレの場合は上下水道の整備や設置後の水道代も必要になる。「インフラだと考えれば、決して高くないと思いますよ」と橘井氏。
さらに橘井氏はこう続ける。「上下水道はインフラですから、水道管の新設も、劣化した管の交換も必要なことです。しかし、その維持管理には莫大な費用が必要で、それは我々の税金でまかなわれている。そう考えたら、もっと水は大切に使わないといけないよね」。
一般家庭の場合、水洗トイレで使用される水も、台所や洗面所で使われる水も同じものである。我々は飲めるほどキレイに浄化された水で、排泄物を大量に薄めているというわけだ。そして、排泄物を薄めた水は下水管を通り、しかるべき施設で処理されて、再び飲める水に再生される。
「バイオトイレが普及すれば、飲めるほどキレイな水を大量に消費することがなくなります。そうなれば、上下水道の予算のいくらかは、他の事業に回せるようになるでしょう」(橘井氏)。
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