このページの本文へ
ここから本文です

バイオマス(生物資源)って何だろう?(7)〜近自然森林管理(1)

2005年4月28日

(中島 敦司)

前回まで、人間社会、つまり経済を持続させるためには、森林を持続させる必要があることをお話しした。森林を破壊すると、森林の恵みである多面的な公益機能(3月31日コラム参照)が失われ、人間が生きていく上で様々な不都合が生じる。水の汚濁、土砂崩れなど、数え上げたらきりがない。

そして、森林の破壊が進む原因は、森林が持っている環境資源を使いすぎること(オーバーユーズ)にある。材木を得るための自然林の伐採や、食料を確保するための森林の農地化、大規模な宅地造成などは、やり過ぎであることが多い。土地を劣化(砂漠化)させ、森林として再生できなくなるほど破壊すれば、森林の公益機能が発揮されなくなり、人間にとって不都合だらけの過酷な環境となってしまう。

今回は、森林つまり公益機能をどうやったら失わずにすむか?、高める方法はないか?、先進的なチャレンジや筆者の考えを3回に分けて紹介する。コンテンツは、以下の通りである。

 第1回目


  1. ゾーニング:森林の面積を減らさない

  2. ミティゲーション:森林の公益機能を下げない対応

  3. 森林認証

 第2回目


  1. 年間の成長量以上に利用しない

  2. 森林の公益機能を高める

  3. 森林の面積を増やす

 第3回目


  1. 全員参加

  2. 観光で得た資金を充てる

  3. 近自然森林管理

かつて、「災いの元」として森を憎んだ時代がある。しかし、この災いの大半は、乱伐など森林との付き合い方を誤ったために、公益機能の低下としてもたらされた。例えば、乱伐後の洪水、危険な動物が里に出てくるなどである。災いをもたらす存在に森を変質させたのは人間の方であった。乱伐によって災いが頻発することが知られていたからこそ、「木1本首一つ」などと古くから各地で厳しい禁伐令が設定されていた。禁伐令は、材の経済価値を領主が独り占めするだけの意味ではなかった。民(たみ)の間でも、自発的にオーバーユーズを戒め、森林と人との距離を必要以上に近づけないための存在として「山の神」が大切にされた。

森と人との間の距離の取り方を間違うと、たとえ最先端の科学技術を適用しようとも、直接・間接に、様々な災いがもたらされる。最も効果的な対策は、森林の面積確保と、高い公益機能を保った状態で維持することである。

1. ゾーニング:森林の面積を減らさない

森林は、たくさんあって困ることはほとんどない。宅地開発のために、大規模な森林破壊を実施するケースがある。これは、森林が社会にとって困った存在だから破壊するわけでない。地価の安価な場所、あるいは連続した広い面積が確保できる場所をさがしたときに、たまたま森林を選択したにすぎない

したがって、森林の減少を防止する考え方の基本は、シンプルである。森林を森林以外の土地利用に転用させなければよい。それを明確にするために、森林として残したいゾーンを決め、「ここは、いつまでも森林だ! 他の土地への転用は許さない」と土地利用計画として定めておけばよい。そうれば、森林は森林のままで残される。

図1は、共同著者の山脇氏のホームページからの転載。スイスにおけるゾーニングの例である。日本でも、これに類した土地利用計画は少なくない。

図1 スイス連邦 チューリッヒ州 土地利用計画マスタープラン 1993年版
出所:スイス連邦チューリッヒ州建設局空間計画部
拡大図

3種類ある空間計画マスタープランの一つ。ジードルング/ランドシャフト版と呼ばれるもので、土地利用とゾーニングを規定したもの。赤は、危険区域ではあるが、人間が住んでよい地域。ピンクが農地、緑が森林、水色が河川湖沼、紺が自然保護区、黄がリクリエーション優先区という具合に分かれている。州民投票によって承認されたこのマスタープランに則って、各市町村が細かい規定(例えば、一戸建て禁止、6階以上禁止、など)を決める。

地目変更(転用)は、経済活動だけでなく公益機能にも影響を及ぼす。このため、多くの国では、公益機能の確保と周囲の合意が転用の条件となっており、転用は「ほぼ不可能」と言ってよいくらいに困難である。

いっぽう日本では、首長の許可があれば、周囲の合意がなくても転用できる。例えば、林地を他の地目に転用して開発する場合、森林が持つ、災害を防ぐ働きへの影響、水害を防ぐ働きへの影響、水源をかん養する働きへの影響、日常生活の環境を守る働きへの影響などを審査する必要がある。

しかし、審査の際に、公益機能の損失を一部見逃してしまったり、開発で失われるであろう公益機能を工学的に補うだけで許可が下りることも少なくない。例えば、土砂の保持機能が失われることが予測される場合に、コンクリートで周辺を固める設計を盛り込むだけで許可される場合がある。

森林面積を確保すれば、公益機能の発揮場所も確保される。しかし、3月31日のコラムでも紹介したように、森林の面積を確保しただけで公益機能が維持されるかというと、必ずしもそうではない。なぜなら、公益機能は、森林の「質」ともかかわっているからだ。

森林や農地を含む自然の公益機能は「生態系」によって類型化できる。このため、生態系の種類によって森林を細分化し整理しておくことが望ましい。そうすれば、例えば地球温暖化に対して、炭素固定能力(シンク)の高い若齢林から、炭素保持能力(ストック)の高い老齢林までを適性配置することができる。

老齢林は、光合成活性が大きくないため、二酸化炭素排出源(ソース)となってしまうこともある。このため、シンクを上げるためには、老齢林を伐採して若齢林に変更した方がよいとの主張がある。しかし、これは一面的な見方であろう。老齢林が有する生物多様性は、往々にして若齢林よりも高い。老齢林が長い年月をかけて形成した高い公益機能を一度捨て去ると、取り戻したいと考えたときに、簡単には取り戻せない。こうした点も考慮してゾーニングンを行い、適正配置を決めていくことが重要だろう。

つまり、老齢林や自然林のバイオマス利用は原則的にやめ、バイオマス利用を許可する森林の面積を制限する。加えて、その森林の中も、利用の様態に応じて詳細にゾーニングを決めておくことが、地域の公益機能を維持する効率的な方法だ。

バイオマスの利用を始めてしまった森林を、再び自然林に戻すという選択肢もある。しかし、利用を続けるなら、植樹や間伐などの管理を継続しないと公益機能を早期に再生することはできない。その際は、森林へのアクセス路や地形に応じた「管理のしやすさ」などの項目も、ゾーニングに反映させることが望ましい。

適正配置の徹底によって地域全体の公益機能を確保しようとする考え方は、「生態系管理」と呼ばれ、各所で提案されている。最も積極的な対応として考えられるのは、「森林都市構想」のようなゾーニングである。地域の森林面積をさらに増やす目的で、森林を再生する場所をあらかじめ決めておく方法だ。

公益機能は、都市から農地、農地から森林のような土地と生態系つながりの中で発揮される。したがって、ゾーニングを行なう際には、森林以外の土地への配慮、周辺とのかかわりも考えることが重要だ。そのためには、山脇氏のコラム(2004年11月22日掲載同12月2日掲載)で示された、土地利用に対する考え方と枠組みの改変が求められる。

2. ミティゲーション:森林の公益機能を下げない対応

自然林を伐採しないことは、公益機能の維持に役立つ。公益機能を犠牲にしてでも「開発」を選択することがある。その際には、失われた分を補完する必要が生じる。テクノロジーで補完できるのは、現状の技術レベルでは、公益機能の一部に過ぎない。それならば、公益機能を発揮している自然すなわち生態系そのものを補完しようというのが、ミティゲーション(緩和措置、表1)である。森林においても同じ考え方を適用すれば、公益機能が維持される。

表1 対応の段階別に見たミティゲーション(緩和措置)の手法

ミティゲーションの本来の目的は「開発などで失われる自然の質と量を、事前の対策によって減じさせない」ことにある。失われてからあわてて取りつくろうのはミティゲーションではない。計画段階で開発行為を中止する最上位の対応「回避」から、壊した自然を人工的なビオトープの創出などで補う最下位レベルの「代償」までがある。中間レベルを含めていずれも、開発によって自然の質と量を減させない「No net Loss」への対応だ。

実際には、生態系やそこから生じる公益機能の量と質を減じないことは、技術的に不可能、もしくは極めて実現困難である。「No net Loss」を貫こうとすれば、開発を「回避」する以外に道は残されないことが大半だ。したがって、ミティゲーションを義務化すれば、開発による森林破壊のほとんどが防止できる。

ここで、再確認しておきたいことは、森林としての地目を変えない範囲での開発が存在するということだ。自然林を伐採し、人工的なスギ用材林やドングリの燃料林に切り替えることも「開発のひとつ」である。となると、森林内での活動に対しても、ミティゲーションを徹底しないと、同じレベルの公益機能を確保できなくなる可能性がある。つまり、自然林を伐採した後に植樹することは、代償ミティゲーションと同じ意味に過ぎない、と理解しておく必要がある。

3. 森林認証

日本の林業においては、森林における公益機能を低減させないための具体化な対応として「森林施業計画」がある。また、林業以外でも、森林の公益機能を、税金の投入や市民活動によって確保する取り組みが、各所で進み始めている。

その一つに「森林認証制度」がある(表2)。森林認証された森林から伐採された材木には高い価値を認め、環境貢献への報償を与えようとするものである。乱伐防止など、行動制限につながることも期待されている。

認証方法が異なるため公益機能の確保レベルは統一されていない。しかし、認証の対象となる事項として、いずれも「生態系の質の確保」を挙げており、この点では共通している。一方、このような「お墨付き」的な対応は、認証手続きに耐えられる大規模な林業経営者だけを支援する「強者の理論」だとする批判もある。

森林認証は、様々な課題を抱えつつ試行錯誤を繰り返している。

表2 森林認証制度の例

ゾーニングによって、公益機能の発揮場所を確保し、適切な手法によるミティゲーションによって公益機能の劣化を防止する。この二重対応を今以上に徹底すれば、森林の公益機能を未来にわたって持続させることができる。森林に直接関係のない人も、森林認証によって環境貢献が認められた森林からの資源を優先利用することで、消費を通じた間接的な環境貢献に参加し得る。

ただし、森林資源の使いすぎには注意が必要だ。効果の大きい「節約」に対する報償がないことは、認証の考え方全体に通じた課題であろう。また、森林資源についても基本的には「地産地消」を理想としたい。輸出入など、森林バイオマスの「運搬」は、様々な環境負荷につながる可能性がある。詳しくは、3月29日の光井氏のコラムをご参照ください。

次回は、公益機能を減じない、あるいは高める、森林内での活動や技術論について紹介する。



中島 敦司





地球温暖化問題や、植物生理、森林生態学などをテーマにする気鋭の研究者。「温暖化が植物に与える影響」の証拠データや写真などを多数保有。2003年、本コラムにも登場した長谷川明子氏らと「ビオトープ―環境復元と自然再生を成功させる101ガイド(誠文堂新光社)」を共著し、自然再生の分野でも独自の理論を展開。ネット会議「近自然の広場」のオーナーも務める。和歌山大学システム工学部。


中島氏のホームページ



コメント一覧

この記事のコメント受付は終了しました。

日本の森林面積は化石燃料の利用および外国の木材を利用することで確保されているのではないでしょうか?
以前写真で,現在緑豊かだと感じるところが哀れなはげ山だった写真を見ました。
オーバーユースを行わず、バイオマスを利用することを考えますと、人口の減少か生活レベルの低下しかないように思えてしまいます。

夏目様

 筆者の中島です

ご指摘ありがとうございます。

確かに,バイオマス vs 化石燃料という関係性だけですと,ご指摘の通りだと私も思います。また,前々回のコラムでも書きましたが,日本の森林を保護する裏側で,外国の森林を破壊するということでは地球全体からすると損な選択だろうと思います。さらに,森林管理に多大な化石燃料を投入していますし,かつてはバイオマスを原料や材料だけにでなく燃料としても利用していましたから,人口が増えれば,生活水準が上がれば,当然のようにはげ山だらけになります。かつての四大文明は,その典型だと考えられます。

日本でも,過去に,数回の大伐採→はげ山だらけの時代があったことが分かっています。もっとも最近は,戦後です。私も,昭和30年代がはげ山だらけである証拠写真を多数所有しています。よく「昭和30年代の里山のイメージで」と,里山保護の目標を聞きますが,これを忠実に守ると,はげ山にすることがイメージ通りということになりそうです。心の昭和30年代の風景と,実態は,相当に異なるようです。隣のトトロも,昭和30年代の里山には住みにくかったことでしょう。今では,昭和40〜50年代の,放棄後10〜20年くらいたった後の里山がもっとも生物相が豊かであったなんていう話も出されるようになりました。

余談になってしまいましたが,話をもどしますと,私たちには,化石燃料や原子力以外にも,多くのエネルギーを得る方法があります。それは太陽エネルギーです。熱,光などの直接的なものから,風や水力など間接的なものもあります。バイオマスも間接太陽エネルギーの一部です。太陽エネルギーをうまく使い,資源としてバイオマスを長期間大切に使い,しかも効率的でありながら公益機能を大きく落とさないようにバイオマスを増やす方法で土地とうまく付き合うなら,ずいぶんと違う展開「はげ山化を防ぎながら豊かさも確保」という未来も成り立ちそうです。詳しくは,共著者の山脇氏のコラム

http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/rep02/352630

http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/rep02/355029

をご参照下さい。

使い捨てが当たり前の時代,「もったいない」精神が大切であろう事が,国際レベルで確認されるようになりました。「3Rイニシアティブ閣僚会合」(主催=環境大臣、G8含む20か国など参加)が、4月28日から30日まで東京で開催され、議長総括を採択した。採択文は「『もったいない』精神を世界に広める3Rの推進が鍵」とし、各国がビジョンや戦略を策定して取り組みを進めるとともに、リサイクル製品にかかる高率の関税や非関税障壁の撤廃、国際的な情報交流、協力関係の構築が必要。製品・サービスの環境影響を把握するためのライフサイクルアナリシス(LCA)や、物質フローの分析に関する研究協力が求められているとした。採択文書は、7月に英国で開かれるG8サミットに報告される予定。

だそうです。もったいないはアジア,特に儒教的な考え方のようで,日本は,そのセンスをうまく使いながら資源の枯渇を防いできた過去があります。その頃から人口が増えましたので,そのままの方法では,やはりはげ山ばかりにしてしまうでしょうが,昔は使わなかった太陽資源の使い方も開発もされており,人口を減らすなどの終末的な考えを持ち出さなくとも,豊かさと環境の双方ともが持続するチャンスはまあまだあるのではないかと,そのように考えています。

ですから,森林の問題は森林だけのことでは片づかない,社会全体のことなんだと言えそうです。日常生活での「もったいない」が森林を間接的に保護するなんてことも,LCAの中での最適化のシナリオが考えられるようになっています。コラムでは書いていませんが,国際的には「森林原則」というのが約束されていて,国際的に取り組んでいけば,なんとかなる,いや,なんとかするという意識が世界中でてきています。

このようなことで,お答えになったでしょうか?

都市部と農村山間地の合併が相次ぐ中、土地利用計画の再編が必要となっています。新たなゾーニングの概念を取り入れるに好都合と思われます。
昭和の合併時には「合併後に農村山間地域の開発が遅れていると思われるのは避けたい」という言うことで、優先的に開発を進めた経緯があります。このような事態は避けたいところです。
せっっかく、都市・農村・山地が合併によって、ひとつの行政単位で括られたのであるから、それぞれの地域が持つ価値を生態系のつながりの中で判断し、土地利用を進める必要があるでしょう。
このとき、職・住・学等を近接するユニット化と都市・農村・山間地という地域特性による土地利用の固定化(保全という意味で)をどのように考えていくべきなのでしょうか。

Chitomi さま

筆者の中島です。

とても端的で鋭いご指摘に脱帽しています。最初から3つめの段落までは,まったく同感です。合併によって源流から海までがつながった町村があるそうで,行政区間の利益同士を経済の都合の関係だけなく,公益機能からも重視することのできるチャンスの出た合併も少なくないと聞いています。また,3段落目の「生態系のつながりでゾーニングを」というご指摘は,我が意を得たりという思いです。これが,紹介した「生態系管理」の基本的な要件ですね。分かりやすく補足してくださってありがとうございます。

さて,Chitomiさまは,その際の留意事項として,近自然まちづくりにて重視している「都市部でのユニット化(http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=347151&FORM=biztechnews)」の範囲を「どこまで拡大するか?」という本質的なご指摘をされたと思われます。正直もうしますと,私は明快な答えを持っていません。すみません。

ただ,考えていることとしては,「生態系管理」と「ユニット化」の双方とも利点がありますから,互いに欠点を補うようにしていくことで双方の良さが活かされると思っています。

あくまで,ひとつの考えですが,私は以下のように考えます。まず,土地の固定化は,農・林業などの物質生産機能も含む公益機能の確保には効果がありますが,同時に経済的な不公平感につながりかねません。これまでは,そういうことの繰り返しだったと思われます。しかし,そのことは,同時に,環境問題など様々な不都合を生み出したこともあり,その反省は「土地の固定化」の提案へとつながりました。つまり,生態系管理「だけ」では,例えば都市だけの快適さ(利便性と自然環境や気持ち良さなど)確保の裏側で,郊外はさらに土地利用に対する自由度が下がる→不便や儲からないなど,エリア間での不公平な構図,郊外に責任を押し付けるという構図に拍車がかかります。国際規模でも同じですね。そこで,公益機能のそれぞれに経済価値を認め,その管理(土地に手をつけないことや粗放管理など)を選択したことに「見合う」報酬を郊外に支払い,少なくとも,経済的な不公平だけは解消しておくことが同時に必要だと考えます。国際規模では問題が多すぎて推進するのはたいへんでしょうが,市町村レベルでは,少なくとも,規模や仲間意識もあり,手を付けるチャンスは小さくないと考えます。

環境負荷は集中させることが原則だと,共著者の山脇氏は指摘しています(http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=344688&FORM=biztechnews)。負荷の集中した都市では,ユニット化を推奨しています(http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=347151&FORM=biztechnews)。では,産業や日常生活などでの負荷のもともと大きくない(集中していない)郊外ではどうか? 産業構造別にゾーンを分けてみてはどうかと考えます(=生態系管理)。同時に,ゾーン内ではユニット化を図る。ゾーン間の特に経済的な不公平を公益機能確保への報酬を支払う。これらをセットにすることが,私の今のところの考えです。

なお,本件は,次号,次々号にて,具体的に紹介,提案していくことにしています。公益機能確保に対する報酬の支払い方などです。税金以外の方法についても言及しています。それらがChitomiさまへのアンサーになれば幸いです。

正直,問題が複雑が故に,すっきりとお話できないこともあって,長くなってしまい,申し訳ありませんでした。

中島敦司 さま
確かに環境負荷を考慮すると土地利用の固定化と分散(ユニット化)を上手に使い分けていくとが必要になるでしょう。次回からの展開を楽しみにしています。
もう一つ気になっていることがあるのですが、地方都市における中心市街地の空洞化です。地方都市においては、郊外大型店の進出や宅地化の進行により、人の流れや物流が郊外に分散している傾向があります。ある意味、ユニット化が進んでいます(生態系の部分は無視されていますが)。
このとき、問題になるのが取り残された中心市街地の土地利用もしくは活用と従来のゾーニングに即して整備された交通網です。
道路網などはゾーニングの変化に伴って再整備が必要なのでしょうか?コストはかかるし、新たな環境負荷につながるような気がします。新しい道路を整備したとき、古い道路を自然に戻す(ミティゲーションの代償?)なんて非現実的ですね。

Chitomiさま

筆者のなかしまです。

またもや鋭いご指摘ありがとうございます。おっしゃられる通りだと思います。

先日のご指摘以降,いろんなことを考えています。土地利用の固定化には地価の管理が必要だろうし,ゾーニングやユニット化には,人件費や収入や支出,費用などを安定させる何らかの対応が必要になるだろうし,これらについては,土地に関する法律などで,相当な部分まで網羅されているのに,どうして公益機能が徐々に下がってしまうのだろう?などです。制度だけを見ていると,さほど問題なさそうなのに,問題が発生している原因はなんだろう? 考えれば考えるほど,森林のことだけでは片づかない,私の想定範囲を大きく超え,社会全体のことまで考えなくちゃいけないことを感じます。今後も,ますます考えていきますので,ご指摘の方も継続してお願いします。

なお,「新しい道路を整備したとき、古い(価値の下がった)道路を自然に戻す」ですが,スイスなどでは実践しています。単純に自然に戻すという発想ではなく,道路になる前の土地利用に戻しています。理由はミティゲーションのこともあるのですが,なによりも,道路が道路であり続ける限り管理はずっと必要になります。経済成長が停滞している状態では道路予算が増える見込みはないですから,旧道の管理費を確保していると予算的に新しい道路建設ができなくなり,経済の固定化までされてしまうことを恐れてのことだと聞きました。価値の下がった道路を壊せば,利用できる土地も発生させますし,経済利用でも自然再生でもできるわけです。さらに,管理費がなくなったことで,新しい道路建設も予算的に可能になるということらしいです。どうも,価値の低い道路を道路のままで置いておくことは,土地の浪費だとの考えもあるようです。なんとも賢い考え方だなぁと,話を聞きながら感心したことがありました。

http://www.wakayama-u.ac.jp/~nakat/PDF/syunka_road.pdf

に,素人ながら「道路」についてまとめた駄文をアップしていますので,お時間がございますようでしたら御笑読ください。

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る