正しい評価法の提案(5)〜自立性評価と調和性評価
今回は、これまでの評価法をさらに公平性、公正にするための提案を2回に分けて行う。
1. 不明確な評価の範囲
8月31日のコラムで示したように、プロジェクトの評価は、
☆事前評価:アセスメント(assessment:査定すること)
☆中間評価:コントロール(control:制御・修正すること)
☆事後評価:ジャッジメント(judgement:判定すること)
の3段階に分かれる。しかし、「評価の対象とする範囲はどこまでか?」ということについては、実は深く議論されていない。このことが、現行の評価が公正性を欠いている原因の一つになっているとみられる。
今後の建設プロジェクトでは、「ミティゲーション」が前提になると再三述べてきた。ここで、ミティゲーションの原則を再確認したい。「事前の対策によって、開発などで失われる自然(生態系,環境)の質と量を減らさない」である。どうしても必要な開発であっても、自然を壊してしまう、悪くしてしまう場合には、その分を代償しなければならない。では何を代償するのか? この点は重要なことであるものの、いくつかの誤解がある。
2. 生態系の評価は生物データだけで行うものではない
よく見られるのが、生態系を壊してしまう代償として、開発する土地の生物などを別の土地に移植する措置だ。これは、実はビオトープを移植するだけのことであり、生態系を構成する公益機能を代償したことにはならない。生態系とビオトープは同じものではない。
例えば、ある森林を破壊して住宅地を造成したとしよう。その代償として、元の森林の植物などを別の場所に移植し、同じような植生を同じ面積整備したとする。これが代償ミティゲーションと理解されがちだ。しかし、これは、森林というビオトープを造成、再生したに過ぎず、元の森林の有していた公益機能を代償できたとは限らない。
ここで言う公益機能とは、生物多様性はもちろん、水質や保水力、二酸化炭素の固定能力なども含むものだ。詳しくは、3月31日のコラムを参照していただきたい。
next: 評価を行うために…
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