具体的には、川の近自然化の工事が終わって、2〜3回の小さな洪水が通った跡を観察する。川に瀬、淵、洲、河原、蛇行などが新たに生じて、その川本来の形に近付いていると思われるなら、一応成功と判定できる。ただし、今度は元気すぎて安全性を脅かす場合もあるので、観察は続けなければならない。浸食が、堤防や守るべき物(家、道路、鉄道など)を脅かす場合は、護岸を追加するなど、それ相応の手当てが必要となる。
もし予算が許すなら、生態的なモニタリング(監視調査)を続け、ダイナミクスとモルフォロジーを基準にして行った評価を、科学的に検証することが望ましい。これは、将来に役立つデータを必ず提供してくれることだろう。
川のダイナミクスが本来の状態に近付くと、生態系も本来の状態に戻っていくことを多くの現場で追認できれば、予算がないプロジェクトでは綿密な生態調査を省略できる可能性も出て来る。また、反対に、ダイナミクスが戻っても生態系の復活が伴わないなら、その原因を究明することにより、将来の失敗を事前に回避できよう。
いずれにしても計り知れないメリットをもたらすに違いない。

写真7:洪水に対する安全性を確保するために、約100年前に直線化と石積み護岸によりダイナミクスを小さく抑えられた川。(ロイサッハ川、ドイツ・バイエルン州 1993年)
ダイナミクスを抑えられた結果、川は単調で動植物に乏しく、自浄力(水質自己浄化能力)や親水性、さらにはランドシャフトの面からも問題のあるものとなってしまった。

写真8:安全性を高めると同時にダイナミクスを再び大きくした川(ロイサッハ川、ドイツ・バイエルン州 1994年)
川幅を広く取ることにより洪水安全性が高まる(より大きな洪水を安全に流すことができる)。と同時に、固い護岸を撤去して、必要最低限の場所だけに制限した。その結果、瀬、淵、洲、河原、蛇行などが生まれた。そして、自浄力、親水性、ランドシャフトの面からも価値が上った。
10. 筆者の結論(川づくりに関して)
事後評価は一つの目安に過ぎないと考えたい。これこそが決め手だという評価法は存在し得ないからだ。
そこで、エンジニアは、取りあえず「ダイナミクスとモルフォルジー」に注目して川づくりを行い、同じ基準により評価する。そして、時間はかかるが、生態学がそれを検証して裏付けを取る。その結果を、今度はエンジニアが次のプロジェクトに生かす。こんなピンポンのようなコラボレーション(協調、協働)が理想なのではないだろうか。
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