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環境アセスメントの成功とは?

名古屋市の廃棄物最終処分場として藤前干潟の埋め立てが計画されていたが、ゴミの減量という代案を選択して中止となった。一方、長崎県の諫早湾干拓事業は当初の目的を次々と変えながら、大規模な干拓を現在も進行中だ。

この二つの建設事業では、ともに環境アセスメントが実施された。その結果に対して、環境団体から「藤前干潟が唯一の成功例」という声が聞こえる。諫早湾干拓事業に対する環境アセスメントでは、事業を中止させることができなかったからだ。では事業者側から見ると、諫早湾干拓事業は「成功例」と言えるのだろうか?

環境アセスメントの成否は、反対派が事業を中止させることでも、事業者が反対派の合意を得ることでもない。であるにもかかわらず、その成否を、事業者と反対派の“勝敗”で見るケースが多く見受けられる。これは残念なことだ。

環境アセスメントの目的は、事業の必要性、妥当性、正当性を評価・審査し、意思決定に反映させる仕組みを確立することだ。したがって、現在の環境アセスメントの対象とする進行過程を広げたり、戦略的環境アセスメントを導入することこそが、成功に近づくための一歩と言えるのではないか。

持続可能な発展の目標

環境アセスメントが必要となる大規模構築物を造る建設プロジェクトの発生は、ある社会問題の発生(あるいは発生しつつある)を意味する。発生した問題をどのような方針で解決していくのか。

近自然学では、理想とするビジョンを最初に描くことが原則だ。

人の社会では、環境はもちろん、経済も考慮する必要がある。いっぽう、それぞれの価値は、往々にしてトレードオフの関係になっている。したがって、そこでは、社会、環境、経済という三者のバランスをできる限り保つための、共通の目標を設定する必要がある。

すべての人が満足のいくように、三者のバランスを取ることは難しい。しかし戦略的環境アセスメントを行うことで、近づくことはできる。

今後は、個別事業に対する戦略的環境アセスメントの実施事例を増やすと共に、法的な拘束力を持たせること、さらに、日本の全国総合開発計画のような個別事業の上位にある政策や計画を総合的に評価するものに発展させること、評価の過程で行われた議論の透明性を確保すること、評価結果を市民に説明する責任を遂行すること、などが求められるだろう。

光井 淳之(みつい・じゅんじ)

社団法人 日本ホルスタイン登録協会に勤務。農業改良普及員、環境再生医。新しい農業のあり方を考え、提案することがライフワーク。専門知識を生かした市民活動にも積極的で、現場の経験も豊か。

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