正しい評価法の提案(2)〜日本の環境アセスメントの現状と課題
今回も、「事前評価」について話を進める。現在、日本で行われている「環境アセスメント」は、「環境に与える負荷をより小さくする」という本来の狙いを十分に達していない。この点が、課題となっている。
なぜそのような課題が生じているのか? 理由としては、大きく以下の点が挙げられる。
- 建設する施設の事業段階しか評価の対象にしていない。このため、代替案を比較検討するなどの柔軟性がない
- 同一地域で複数の建設事業が行われる場合でも、それぞれの事業主体が個別にアセスメントを行い総合的な評価をしない
- 社会や経済への影響を含めた複合的な評価をしない
- 事業者側の裁量によって評価項目の取捨選択が行われる。第三者機関による監視がなく、事後調査の実施義務も明確ではない
事業段階しか対象にしていない
建設事業の進行過程は、およそ以下の4段階に分類できる。
- 政策段階:問題の解決をどのような方針で進めていくか決定する段階。「再生資源を原材料として一層利用する」といった具合に、個々の事業の必要性や具体的な内容を決めるのでなく、抽象的な施政方針のことを指すことが多い。
- 計画段階:政策目標を達成するために、どのような事業を、いつ、どこで、どのように実施することが必要であるかを示す段階。例えば「河川整備計画」のように、一定の期間内に、どこで、どのような事業を行うことが必要かを明らかにする。
- プログラム段階:例えば「流域管理プログラム」のように、関連する施策や活動を整理して、具体的な手順を示す段階。プログラムは計画段階に含め、区別しないことも多い。
- 事業段階:各事業の詳細を決定して、実行する段階。日本の環境アセスメントはこの段階に対して行われるため、大きな事業変更が難しくなっている。
EUでは、上記のすべての段階を環境アセスメントの対象にしている。政策段階や事業の計画段階から評価に取り組めば、複数の代替案を出すことによって、環境に与える負荷がより小さい最適案を選出することが可能だ。しかし、日本の環境アセスメントは、事業段階しか対象にしていないため、こうした選択はできない。(図1)。

図1 建設事業の進行過程と環境アセスメントの関係
事業段階から始める日本の環境アセスメントでは、環境基準などの環境保全目標をクリアしているか、環境への負の影響を低減させるための最大の努力を図ったか、などの項目しか評価できないのだ。結果として、環境に重大な影響があることが判明しても、十分な対応ができないケースが出てくる。
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