社会変革の可能性を秘めたモビリティ
――県内3000台から始まって、他の自治体、そして世界へとEVが普及していくとしたら、その先には今までとはまったく違った交通社会が開けるように思います。知事が思い描く、理想のクルマ社会とはどのようなものなのでしょうか?
松沢: 神奈川県では現在、モーダルシフトも推進していて、なるべく公共交通機関を活用していただくように促しています。ガソリン車から環境に優しいEVへ転換できたとしても、一人一台クルマに乗れば交通渋滞は避けられませんから、可能な限り公共交通や自転車を活用していただきたいのです。
ただし、これからの日本は高齢化が進みます。高齢になればバス停や駅までのアクセスが大変になりますから、自由に移動できるクルマは必要であり続けるでしょう。そのときEVへ転換できていれば、CO2や排気ガス、騒音などの心配がありません。
そういった心配がないということは、建物の中にも入っていけるということです。子どもたちが職業体験をする「キッザニア」という屋内型テーマパークがありますが、そこでは施設内のどこへでもクルマでアクセスできます。それを見たときに「ガソリン車ではなく、EVになれば、こういう社会が実現できるのか」と思いました。
――クルマが建物の中に入っていけると、どんなメリットがあるのでしょう?
松沢: 例えば、病院の診察室の前まで自分のクルマで行けるようになります。もちろん通路が相当広くなければできませんが、駐車場でクルマを止めて、そこから歩いたり、車イスに乗り換えたりする必要がなくなるんです。病院へ通う方々にとって、プレイス・トゥー・プレイスで移動できることは、とても意義あることだと思います。
あるいは商店街のアーケードやショッピングモールで、目的のお店までクルマで行けるようになれば、買い物がすごく楽になります。また、家の中にもクルマを持ち込めますから、クルマ好きの方なら文字通り愛車とともに生活ができるかもしれませんね。
そうなれば街作りの視点が根本から変わってきます。EVは社会構造そのものを変革する可能性を秘めたモビリティだと言えるでしょう。
――ありがとうございました。

神奈川県知事 松沢 成文氏
松沢 成文(まつざわ・しげふみ)氏
神奈川県知事
経歴
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