「明るさと暗さ」が違う!
有機ELテレビの美しさの秘密
――今、話題の有機ELテレビを一見すると、超薄型の液晶テレビにように見えるのですが、構造は全く違うものですよね?
城戸 淳二 教授(以下、敬称略): 有機ELテレビはガラスの上に有機物を塗布し、そこに電気を通すと有機物が画素として発光するものです。これに対して液晶は自ら光ることができないのでバックライトで光らせています。ここが大きく違うところで、画面の美しさを決める基準の一つ「輝度」も違ってきます。「輝度」はキラキラ感とでも言えばいいと思うのですが、例えば、さざ波がキラキラするとか、刀がキラリと光る、こうした表現の時に「輝度」が高いと、キラキラしたメリハリのある映像になるのです。有機ELは自光ですから、必要な部分に電流を投入することで、いくらでも「キラキラ度」を上げることができ、表現豊かな美しい映像が可能なのです。液晶テレビはバックライトで照らすので「輝度」が一定ですから、有機ELテレビのように一部を強調するようなことは無理です。そのためベタとした画面になってしまいます。それに有機ELでは点灯させない画素は真っ黒なので、液晶のように光の漏れでるディスプレイとは黒さがまったく違います。画像に奥行き感がでて、3Dの様にすら感じます。
また液晶テレビはバックライトを搭載する必要がありますから、有機ELテレビほどは薄くすることはできないですね。
――有機ELテレビは寿命の点で液晶よりも短いと言われますが、商品化するときにその辺りはネックになりますか?
城戸: 有機ELテレビの寿命は1日8時間ぐらい見て10年。プラズマテレビ以上にまでなっているので、寿命的に問題はないと思います。ただ、有機ELはプラズマと同様に同じ画面を表示し続けていると焼き付きが起こるんです。パソコンみたいに、常に画面の同じ場所に同じ表示を出すような利用には向かないと思いますね。パソコンだったら焼き付きの起こらない液晶の方が向いています。
――昨年末に発売された世界初の有機ELテレビである、ソニーの「XEL-1」はサイズが11インチでした。やはり大型のディスプレイを作るのは難しいものなのでしょうか?
城戸: 今、技術的に30~50インチくらいの製品をつくるのは難しくないですね。3年後くらいには、30インチの有機ELテレビを国内メーカーが発売すると思っています。ただ、いきなり大きなサイズの有機ELテレビの製造を開始するのは難しいです。まずは小型で製造の経験を積んで、それから大型のテレビの製造に着手していくことになると思います。

ソニーの有機ELテレビ「XEL-1」(撮影:石川耕三)
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