ごみの有料化と並列した
リユース・リサイクル施策の徹底が必要
――将来、地球環境の影響を最も受ける子供たちだからこそ、環境問題を認識してほしいというのが、札幌市の取り組みにつながっているのですね。そのほかにも、実践していることはありますか。
上田: 生ごみを有効に処理しようということで、「フードリサイクル」という取り組みを進めています。学校給食で出た子供たちの食べ残しを堆肥化して、それを使って育てた野菜を給食の食材に利用しています。いま札幌市内にある小中学校と特別支援学校(養護学校)306校のうち、229校がフードリサイクルに参加しています。これは非常に教育的な効果が高いといわれているんですよ。
それからもうひとつは、ごみの有料化があります。2009年の7月から、家庭から排出される燃やせるごみと燃やせないごみの有料化が始まります。ごみの減量を徹底的に進め、世界水準で最も環境政策が進んだ街になろうと頑張っているところです。
いま、札幌の市民が家庭から排出する燃やせるごみと燃やせないごみを合わせると、1人1日あたり630グラムになります。今回、有料化も導入してその量を400グラム以下に減らそうとしています。これはほかのG8の国々の平均値と比べても極端に少ない数値になるでしょうね。いま、ほかの政令指定都市も、ごみの減量化に努力していますが、少ない都市でも500グラム台がほとんどですね。それを400グラム以下にすることはものすごく大変なことなのです。
札幌市内には清掃工場が4つありますが、ごみを徹底的に分別して減量化することで、1つ施設を減らそうという目標を立てました。具体的には、焼却する量を年間24万トン少なくしようということです。
雑紙など資源物を厳密に分けて回収し、リサイクルできるものはしっかりリサイクルに回す。そういうことをやっていくためにはリソースが必要ですし、もっといえば「ごみは捨てるとお金がかかる」という意識を市民に持ってもらうことが狙いです。

札幌市長 上田文雄氏
――ごみを有料化するだけで市民の意識は変わるものでしょうか。
上田: ごみが有料になれば当然意識は変わりますが、それだけではまだ不十分です。それと同時にいかに「リユース」と「リサイクル」の政策を徹底するか。そこまでやって、はじめてごみが減るんですよ。
ごみが有料になれば、「捨てればお金がかかるから自制しよう」という意識は生まれるでしょう。ですが、その意識だけではすぐに慣れて必ずリバウンドが起こります。そうさせないために、減量化の政策と施策を、場合によっては徹底してリソースを注いで進めるといったようなことが必要になりますね。
――今後、札幌市が環境に対して進めていきたいことがあれば教えて下さい。
上田: 5年前(2003年)の市長選の立候補時の公約にも挙げましたが、「北海道サマータイム制」というのをぜひやりたいですね。北海道だけ、あと1時間早められれば、北海道の地理的特性を十分に活用するということで、これも環境に目を向ける材料になるのではないかと考えています。
――素晴らしいと思いますね。本日はお忙しいところをありがとうございました。
上田 文雄(うえだ・ふみお)氏
札幌市長
札幌で道央法律事務所に所属し、幅広い分野で弁護士活動を展開。
99年特定非営利活動法人北海道NPOサポートセンター理事長、2003年6月札幌市長再選挙で当選。
略歴
昭和47年3月 中央大学法学部法律学科卒業
昭和53年4月 札幌弁護士会登録
平成 6年4月 札幌弁護士会副会長
平成 8年4月 札幌弁護士会消費者保護委員会委員長
平成 9年4月 札幌弁護士会子どもの権利委員会委員長
平成11年4月 札幌弁護士会公害対策環境保全委員会委員長
平成13年4月 日本弁護士連合会人権擁護委員会副委員長
平成15年6月 札幌市長再選挙で当選(1期目)
平成19年4月 札幌市長選挙で当選(2期目)
上田文雄のウェブマガジン
http://www.uedafumio.jp/
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