持続可能な水循社会を構築するために
──少し話題を変えます。日本ではかつて魚が住めなくなってしまったような汚染された河川や湖沼をよみがえらせたという実績があります。
吉村: 日本は高度成長期に、水質汚濁に限らず、様々な公害問題を引き起こしました。
しかし、「水は大切なものである」という哲学が日本人の根底にあったからこそ、世界的に見れば、驚くほど短期間で水の汚染を改善することができたのだと思います。特に工業廃水については、「水質汚濁防止法」が1970年に公布され、規制を強化することで大きな成果を得ました。
ただ、これですべて解決というわけにはいきません。現在では、工業廃水よりも一般家庭からの生活排水による汚染が問題となっています。難しいのは、法規制だけでは生活者のライフスタイルを改善させられないことで、そういう意味ではまだ抜本的な解決の糸口は見えていないのが現状ではないかと思います。
──われわれ日本人は、自分たちの水資源にどう対処していけばいいのでしょうか。
吉村: 江戸時代のように全人口が3000万人程度であれば、自然の循環に任せて水を使っていれば問題はなかったのでしょう。しかし現在では、1億2770万人が、水を大量に使いながら生活しています。
この規模では、自然の自浄作用だけで人間が生きていくうえで必要な水の量を賄うことはできません。
まずは、私たち一人ひとりが国内の水資源の問題をしっかり認識することが重要です。そして、持続可能な水循環社会を構築するために何ができるかを考え、できるところから一つひとつずつ行動を起こしていかなければなりません。

グローバルウォータ・ジャパン 代表 吉村和就氏
吉村 和就(よしむら・かずなり)氏
国連テクニカルアドバイザー
長年、大手エンジニアリング会社にて営業、開発、市場調査、経営企画に携わり、環境分野ではゼロエミッション(廃棄物からエネルギーと資源創出)構想を日本に広げた。
国の要請により国連ニューヨーク本部に勤務、環境審議官として発展途上国の水インフラの指導を行う。
またISO/TC224の日本代表として、日本提案をISOに登録させた。
日本を代表する水環境問題の専門家の一人であり、国連本部勤務の経験を踏まえ、日本の環境技術を世界に広める努力を続けている。
その間多くの講演(英語、日本語)をこなし、また、関連業界紙や専門誌に数多くの寄稿をしている。
最近は自民党の特命委員会「水の安全保障研究会」でG8洞爺湖サミットの委員を務めている。
略歴
1973年 荏原インフィルコ(株) 入社(営業、企画、技術開発)
1994年 (株)荏原製作所本社 経営企画部長
1998年 国連ニューヨーク本部・経済社会局・環境審議官
2001年 同時多発テロ後帰国、荏原製作所に復職
2005年 グローバルウォータ・ジャパン設立
ホームページアドレス
Global Water Japan 吉村 和就氏ホームページ
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