20年に一度のために計画的に自然を育てる
――矛盾をはらんでいる部分も感じられます。リサイクルでエネルギーコストを下げてはいますが、20年に一度の式年遷宮では、確実にエネルギーや資源を必要とします。
井沢: 確かに、一度良いものをつくって残しておけば、エネルギーも資源もかかりません。しかし、20年ごとに取り組んでいかないと、遷宮を続けること自体が途絶えてしまう可能性もあります。
技術というものは人間の独特の勘と熟練で磨かれていくものですから、マニュアル的に書物に残せない。技術の伝承は、行為として親が行っていることを子どもがまねて自らの身体で覚えていくしかない部分が必ずあります。これも生命の営みが連綿と続いていくうえで重要なことでしょう。
式年遷宮には、そうしたことに集中して続けさせるという考え方があるのでしょう。ですから、やはり20年に一度遷宮を行い、それにかかわるすべてのことを粛々とやっていく必要があるんだと思います。
――式年遷宮に使用する檜は大体100年以上経たものを使いますが、20年に一度続けていくと、いずれ用材がなくなってしまいます。
井沢: 昔は日本中、至るところに檜林があったので、そんなことを考える必要はなかったですがね。
確かに現代になって神宮の所有している御領林は減っていますから、ある程度人の計らいを入れて、計画的に(植林を)やらざるを得なくなったと思います。今進めている200年計画(※3:編集部注)は、苗木を植えて間伐して育ててと、人間が自ら自然にかかわっていくという、これも永続性を保つ一つの取り組みでしょう。
それはそれで式年遷宮の主旨に合致することだと思いますよ。
つまり、職人に一から技術を教えていくのと同じように、苗から木を育てていく。育ったら伐採してまた植えるというように、20年ごとに用材が必要なら山で育てるということですから。

平成25年(2013年)に第62回式年遷宮を迎える伊勢神宮、五十鈴川沿いに広がる神宮林
※3 正式名称は「神宮森林経営計画」。大正時代に立案され、20年ごとに使用する遷宮用材の自給を目指している。檜の植樹から育成を200年計画で続け、平成25年の第62回式念遷宮ではその一部を使用する予定である。
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